トイレの不安から、短大の常勤講師をあきらめた北見澤洋子さん(仮名、59歳)。
職場には同世代の女性が多いが、トイレの悩みが話題になったことはない。誰にも理解してもらえないツラさから、しだいにイライラしたり、ふさぎこんだりするようになる。
そんなある日、友人の見舞いで訪れた病院で「女性専用泌尿器外来」の文字が。
泌尿器科の外来診療のうち、火曜と木曜の午後が女性患者限定の日になるという。「治したい!」洋子さんの心に、治療に対する思いが湧きあがる。
翌月から、洋子さんは過活動膀胱の薬物治療をスタート。講義にもよりいっそう熱が入るようになる。
過活動膀胱(OAB)の治療の中心は、洋子さんの例にあるように薬物治療だが、それと並行して行動療法によって症状を改善することも重要だ。生活習慣を見直すことで、日頃の悩みが軽減されたり、薬による治療をより効果的にすることも可能だ。
トイレに行った回数や尿量、尿もれの有無などについて日誌をつけることも役にたつ。自分の症状を知るだけでなく、受診した際に説明するのに便利だ。排尿記録は、過活動膀胱(OAB)の診断と治療におおいに参考になる。
記録すべき事項は、「起床・就寝時刻」「排尿時刻」「尿量」「尿もれの有無」が必須項目で、あとは気になることがあれば、自分で工夫して記入するようにしよう。