疾患・特集

いつか伸びる?いいえ、身長の伸びは期間限定

身長を伸ばすカギは「ホルモン」

身長を伸ばすカギは「ホルモン」

子どもの成長に必要なのは「栄養」であるが、そのほかに重要な役割を担っているのが、体内で分泌されているホルモン。なかでもカギをにぎるのは「成長ホルモン」「甲状腺ホルモン」「性ホルモン」の3つ。
「成長ホルモン」は脳下垂体から分泌され、骨を伸ばすと同時に筋肉や皮下組織にはたらきかけてからだを大きくする。甲状腺ホルモンは全身の細胞に作用し、骨の成長にもかかわる。性ホルモンは思春期である二次性徴の成熟に必要だ。

これらのホルモンが不足していると、子どもの身長に影響を及ぼすことになる。

身長には「伸びる時期」がある

低身長のなかにはまれではあるが、病気が原因のケースがあることは「背が低いのは個性?なかには病気がひそんでいることも」でご紹介したとおり。これらのケースには医学的に、身長を伸ばす治療法が確立されている。「成長ホルモン」を注射によって補う方法だ。

「いつか伸びるから、今急がなくても…」そう考える親も多いだろう。しかし、治療をためらったまま多感な年ごろとなり、「やはり背を高くしたい」と決断しても間に合わないこともある。思春期に入って二次性徴が成熟すると骨も成熟してしまい、いくら成長ホルモンを注射しても骨が伸びてくれないのだ。

身長の伸びは、期間限定。低身長に気づいたらなるべく早いうちに、専門医のもとで何が原因なのかを調べてみよう。

どんな検査をするの?

低身長の原因は医療機関の外来で、次のような項目をしらべることでわかる。
まず身長・体重の計測、血液検査、尿検査。成長ホルモンが不足すると手の骨が未成熟なままなので、手の骨のX線検査もおこなう。

母子健康手帳も重要なてがかり

また、問診も低身長の原因をつきとめるのに重要な項目だ。子どもの成長記録から成長曲線をつくり、出産時の状況やこれまでにかかった病気など、診断の決め手となるポイントについて、ドクターから質問をされる。母子健康手帳も重要なてがかりになるので、忘れずに持参しよう。

「どんな質問をされるか知りたい」「はじめてのことなので不安」。そんな不安を払拭してもらうため、一般的な記録事項についてまとめてみた(PDF)。ぜひ参考にされたい。

寝る子は育つ?

成長ホルモンは1日に数回、分泌のピークがある。
一番高いピークに達するのが睡眠中。なかでも深い眠りのときに分泌量が増す。「寝る子は育つ」という昔からの言い伝えには、じゅうぶんな科学的根拠があるわけだ。
睡眠が途中で妨げられたり、睡眠時間が短かったりすると、成長ホルモンの分泌が悪くなり、身長の伸びも悪くなる可能性がある。受験勉強のために毎日3時間の睡眠で過ごしていた子どもは、その間ほとんど身長が伸びなかったという例も。
日中、運動などでじゅうぶんに体を動かすなどして、質のよい睡眠をとるようにしよう。

通常の成長ホルモンの分泌パターン