疾患・特集

男と女の大豆イソフラボン

美と健康の救世主!?…女性の場合

肌のうるおいやハリを保ち、美しさを保つとされ、化粧品にも使われている大豆イソフラボン。実際、大豆イソフラボンを摂ると、メラニンの生成を抑える効果があるなど、美しさへの貢献度は高いようだ。

グラフ:イソフラボンのメラニン生成抑制効果 グラフ:イソフラボン摂取と乳がん死亡率(女性)

また、健康面でも注目度は高い。更年期障害による顔のほてりといった諸症状の改善をはじめ、閉経後の女性に多い骨粗しょう症の緩和、さらには乳がんの発生を抑制するはたらきがあるとされ、熱い期待を集めている。
なかでも乳がんについては、日本女性2万人を対象にした調査で、大豆イソフラボンを多く摂ったグループの乳がん発生率は、他のグループに比べて約54%も少なかったという驚くべき結果も報告されている。

通風や男性特有のがんにも効果!?…男性の場合

女性の美と健康への効能が大きく取り沙汰され、女性だけのものといったイメージが強いが、男性の健康に対しての効果が今、見直されてきている。
そのひとつが、前立腺肥大・前立腺がんの抑制効果だ。これはご存知の通り、男性特有の病気で、ホルモン依存性のがんといわれている。これに対して、女性ホルモンと似たはたらきをする大豆イソフラボンが効果を発揮し、発生を抑制するというのだ。

グラフ:イソフラボン摂取と前立腺がん死亡率(男性)

また、患者の90%以上が男性とされる痛風も、大豆イソフラボンを積極的に摂ることで抑制されるのではないかといわれている。

生活習慣病の分野でも熱い期待

高血圧、動脈硬化、がん…。男女の別なく増え続ける生活習慣病の治療と予防の現場でも今、注目を集めているのが大豆イソフラボンだ。

このキッカケとなったのは、日本では女性の更年期障害や骨粗しょう症などが比較的軽く、心筋梗塞などの心臓疾患も少なく、世界一の長寿国であることから、欧米の医学者が日本の伝統食を研究しはじめたことにあるとされている。そして1999年には、米国のFDA(食品医薬品局)が『大豆たんぱく質は心臓病の予防に役立つ』という健康表示を承認。大豆の、ひいては大豆イソフラボンの健康への効果が脚光をあびることになったのだ。

グラフ:血中コレステロールに対する影響のグラフと血圧に対する影響

その後、高血圧やコレステロールなどに関するさまざまな研究成果が発表され、生活習慣病の予防のためにも、大豆イソフラボンを積極的に摂る生活が薦められている。なかでも現段階で、効果のほどが着目されているのが、コレステロールと血圧に対する影響
脂質などの摂り過ぎによって、血液中のコレステロール値が高い状態が長く続くと、動脈硬化などの疾患を招きがち。ところが、大豆イソフラボンを1日約40mg摂る生活を4週間続けたところ、グラフのようにコレステロール値を低く抑えることができたと実験でも実証されている。
また、同様の実験では、血圧も変化。血圧を低く抑えることができることがわかっている。

今後ますます研究がすすめば、さらに大豆イソフラボンの生活習慣病への好影響が実証されていくのかもしれない。