「ヘルペス」とは、「ヘルペスウイルス」というウイルスが皮膚や粘膜に感染して、水ぶくれができる病気のことです。帯状疱疹、口唇ヘルペス、性器ヘルペスがよく知られています。実は、ヘルペスウイルスはごく一般的なウイルス。気になるその正体や症状について紹介します。
「ヘルペス」は、「ヘルペスウイルス」というウイルスが皮膚や粘膜に感染して、水ぶくれができる病気のこと。これだけ聞くと、なんだか少し怖い気もしますが、実はヘルペスウイルスはごく一般的なウイルスです。くちびるのまわりに水ぶくれができる口唇ヘルペスの場合、2012年には、世界人口の67%がウイルスに感染していたというデータ もあるほどです。しかし、そのほとんどは症状がなく、大半が感染していることに気付いていません。※参考:単純ヘルペス、性器ヘルペス(ファクトシート) 2017年1月 WHO(厚生労働省検疫所FORTH)
ヘルペスウイルスは、感染すると症状が治った後も人の細胞の中にじっと隠れていて、普段は症状が出てこないのが特徴です。ところが風邪や疲れなどで体の抵抗力が落ちると、突然出てきて暴れ出してしまいます。例えば「帯状疱疹」は、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが長い間体内に隠れていた後、突然暴れだしてしまう病気です。
ただ、一口に「ヘルペス」といっても症状はいろいろあります。ヘルペスウイルスはいくつかの種類があり、それによって引き起こされる病気も違ってきます。
参考サイト:Herpes.jp
「帯状疱疹」は文字通り、お腹から背中にかけて帯状に水ぶくれが現れる病気です。一般的には体の左右どちらか一方に出ますが、病気などで免疫力が低下しているときには帯状のものに加えて水ぼうそうのような水ぶくれが全身に出る場合があります。さらにウイルスは神経を通って皮膚に出てくるため、激しい痛みを伴うことが多いのも特徴のひとつ。
はじめの症状はチクチクした痛み。数日するとその部分が赤くなって、水ぶくれができてきます。体のどこにでも症状は出ますが、胸から背中にかけてが一番多く、顔や手足、お腹やおしりの下などにも現れることもあります。
痛みが始まってから、かさぶたになって治るまで約3週間~1ヵ月くらいかかり、痛みもその頃に消えることが多いようです。しかし、たまに「帯状疱疹後神経痛」といって、皮膚の症状が治った後もかなり長期間痛みが続くことがあるので注意しましょう。
なお、2016年には水ぼうそうワクチン(水痘ワクチン)を「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」を目的に接種することが認められました。このワクチンを接種すると、帯状疱疹になる恐れが低くなり、発症しても症状が軽くなります。ただし、免疫機能に明らかな異常のある人や免疫を抑制する治療を受けている人はワクチンを接種できません。水ぼうそうにかかったことのある50歳以上の方は、元気なときにワクチンを接種しておくとよいでしょう。
「口唇ヘルペス」という名前は知らなくても、風邪で体調を崩したときや疲れがたまったときなどに、くちびるの辺りにできるデキモノに悩んでいる人は多いのではないでしょうか?「風邪の華」や「熱の華」ともよばれるこの症状が、実は「口唇ヘルペス」です。日本人の10人に1人が経験したことがあるといわれるほど一般的な病気です。
はじめ、くちびるや口の周りが赤くなり、数日後小さな水ぶくれができます。ムズムズとしたかゆみや、皮膚のほてり、ピリピリとした痛みを感じることもあります。大抵、水ぶくれは2週間くらいでかさぶたとなって治ることが多いようです。
性器やお尻の周辺の皮膚に赤いブツブツや水ぶくれ、ただれができる病気です。通常、性交渉などで感染してから2日~12日で発症します。はじめてかかったときには強い痛みや発熱をともなう場合がありますが、再発の場合は小さな水ぶくれやただれができるだけの、軽い症状ですむことが多いようです。また、感染しても症状の出ない人や症状に気づいていない人もいるため、自分では気づかないまま人にうつしてしまうこともあります。
帯状疱疹は、一度かかったら、再発することはまれ。しかし、口唇ヘルペス・性器ヘルペスの厄介なところは、なんといっても再発しやすいこと。治ったと思っても、ウイルスは神経細胞のなかにひっそりと隠れていて、再び暴れだす機会をじっと待っています。再発を防ぐためには、日ごろから体調管理や心身のリフレッシュを心がけ、ウイルスに負けない体をつくることが必要です。