「気力が続かない」、手足の冷えや筋力の低下など、見過ごしがちな症状。もしかして成長ホルモン不足が関係しているのかも。成長ホルモンの欠乏によるおもな症状、そして、成長ホルモン欠乏の原因を探る。
成長期までに成長ホルモンが不足した場合、身長が低いなどの症状がみられる(成長ホルモン分泌不全性低身長)。また子どものころから成長ホルモンがあまり分泌されない人の場合、若い頃から生活習慣病にかかりやすいともいわれている。
一方、おとなになってから不足した場合は、脂質やたんぱく質、糖質、骨、水分やミネラルなどの代謝がうまくいかず、さまざまな不快な症状がみられることがある。年齢とともに気になる症状も、もしかしたら成長ホルモンの欠乏が原因かも!?
おとなの成長ホルモン欠乏症の原因は、成長期までに発症した場合とおとなになってから発症した場合にわけて考えられる。
特発性が84~86%と最も多い。この「特発性」とは「原因不明」という意味。つまり、子どものころ発症する成長ホルモン欠乏症はほとんどの場合が原因不明。生まれるときに脳下垂体付近が傷ついたことが原因と考えられるケースもある。そのほかに、脳下垂体付近にできた腫瘍などが原因となることが14~16%。遺伝が原因で成長ホルモンが欠乏することは少ない。
脳下垂体付近の腫瘍や外傷、出血、炎症などが考えられるが、特発性の場合もある。
成長ホルモンの量は多ければよいというものではない。成長期が過ぎて成長ホルモンの分泌量が過剰な場合は末端肥大症(先端巨大症)になることがある。
病名のとおり、足の先が肥大してくるというのがおもな症状だ。そのため、以前より大きな指輪や手袋、靴などが必要になったり、額や顎、鼻、舌などが大きくなり顔つきもかなり変わる。体毛が濃くなる、汗が多い、声が低くなるなどがみられることも。さらに心臓などの臓器も肥大してくるので、心臓病などによる死亡率も高くなるといわれている。
末端肥大症は一般的に30~50代で発症することが多く、下垂体にできた腫瘍(下垂体腺腫)によって成長ホルモンの分泌が過剰となることがおもな原因。