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ふるえと上手に付き合おう!本態性振戦Q&A

本態性振戦に詳しい神経内科の専門医に、本態性振戦について質問。若年での発症、男女差、受診の時期、薬のことや家族の接し方などについてのQ&A。

Q 若い人でも本態性振戦になるのでしょうか?また、男女差はありますか?

中高年から増えていき、高齢になるほど多くなる病気ですが、若い人でも発症することがあります。若い人がこの病気にかかる場合、遺伝的な要因が考えられます。ご家族の中に同じようなふるえがあった方がいないかどうか、確認してみましょう。
また、症状に男女差はありません。

Q どれくらいの症状がでたら受診するべきですか?

早ければ早いほどよいでしょう。症状を長引かせると、それだけ不快な状態が長引くわけですから、早めに神経内科などの専門医を受診し、適切な治療を受けてください。本態性振戦は進行性の病気ではないため死にいたることはありませんが、別の病気の可能性もありますので、自己判断は禁物です。必ず、医師の診断を受けてください。

Q 本態性振戦の治療には薬を用いると聞きましたが、薬はどれくらいで効果がでるものなのでしょうか?

早い人では3日、平均で1~2週間で症状が緩和されます。ただし、完治するわけではありませんので、症状が治まったあとも、定期的に医師を訪れ、上手に症状をコントロールしてください。

Q 薬は毎日飲まなくてはならないのでしょうか?

ふるえると困るという日や時刻に合わせて

薬は症状に応じ、医師の指示に従って服用してください。服用後、約30分ぐらいで効果が現れ、4~5時間持続します。ふるえの頻度が多ければ、1日2回、朝と昼に服用するのが通常ですが、症状によっては1日1回のこともあります。
また、本態性振戦の場合、精神的緊張でふるえが強くなるので、ふるえると困るという日や時刻に合わせて、その日の2、3日前から薬を飲むとよいでしょう。不規則な服用であっても症状が悪化することはありませんので、薬を飲み忘れても心配ありません。

Q 本態性振戦の治療に使われる薬には副作用がありますか? また、ほかの薬と併用できますか?

本態性振戦の治療に使われる「β遮断薬」はもともと高血圧や不整脈の治療に使われてきた薬です。作用として、血圧を下げたり、脈拍を遅くしたりということがありますので、必ず医師と相談して、使用量を調整してください。また、精神的に活動性が弱まったり、性欲が低下したりする場合もあります。
なお、ほかに疾患のある場合や治療を受けている場合は、必ず専門医の指導を受けてください。

Q 健康保険は適用されますか?

本態性振戦の治療に保険が適用されるのはβ遮断薬の「アロチノロール」のみです。

Q 家族や周囲の人間はどのように接すればよいのでしょうか?

あまりふるえを気にしないで

本態性振戦は命に関わる重篤な病気ではありませんが、長引くと人前に出るのが苦痛になり、行動範囲が狭くなってしまい、その結果、筋肉が衰えることもあります。ひいては家にこもって寝たきりや痴呆を招くきっかけにもなることもないとは言えません。

本態性振戦は精神的ストレスによって症状が強く現れるので、本人も周囲もあまりふるえを気にせず、できるだけリラックスした状態を保てるようにしてください。そのためにも睡眠は十分にとってください。また、人と接することへの恐怖心を持たないよう、散歩に誘ったり、趣味を楽しんでもらうなどしてみるのもよいでしょう。