20~30代女性は、欠食習慣、ストレス、喫煙、飲酒などの要因により体調に変化を起こしがち。毎日のビタミン・ミネラルのバランスを見直すことが大切です。月経前症候群・月経トラブル、血行不良、自律神経失調症・抑うつなど女性に起こりやすいトラブル別のおすすめ栄養素を紹介します。
元気に毎日を過ごすには、毎日3度の食事をしっかり摂って食生活を管理することが大切です。しかし、ついつい忙しくて夕食を抜いてしまったり、寝坊して朝食を食べられなかったりということも多いのではないでしょうか。平成13年国民栄養調査(厚生労働省)によると、欠食習慣のある女性は、なんと20代で3人に1人、30代でも4人に1人にも上るようです。
欠食を続けているとどうなるのでしょうか?必要な栄養が脳に供給されず、頭がぼーっとする、憂うつ感が高まる、外出や新しいことを始めるのがおっくうになる、だるくて疲れやすくなるなどの不定愁訴につながっていきます。さらに、さまざまな心身の病につながることもあります。「最近、体調が悪い」という人は、まず自分の食習慣を見直すことから始めましょう。
出典:平成13年国民栄養調査「ふだんの欠食の頻度」
毎食きちんと摂っていても、栄養不足に陥ることがあることもご存知でしょうか。その最も大きい原因がストレスです。ストレスを感じると体内のビタミンが盛んに消費されます。例えば、ちょっとドキッとしただけでも、なんと1日の栄養所要量 (100mg)の5倍にも当たる量のビタミンCが消費されるといわれています。
たばこやお酒もビタミン・ミネラルの不足に大きく関わっています。たばこ1本で破壊されるビタミンCは25mgといわれ、1本で1日の栄養所要量の1/4もの量があっという間になくなってしまうのです。しかも、日本たばこ産業の調査では、2002年に男性の喫煙率がようやく5割を切り、5年間で6%ほど減ったというのに、女性は14%前後でほぼ横ばいです。これでは自ら体調不良を招いているようなものです。
また、ビタミン不足にはお酒も無縁ではありません。アルコールを摂り過ぎると葉酸を含むビタミンB群が欠乏してウェルニッケ脳症を引き起こしたり、ナイアシンが欠乏してぺラグラなどの病気を引き起こすこともあります。
毎日を健やかに過ごすために禁煙・節酒を心がけることは、忘れてはならないポイントと心得ましょう。
疲れやすい20~30代の女性はどんなビタミンを補給するとよいのでしょうか。女性によく起こるトラブル別に、不足しがちなビタミン・ミネラルの特徴や栄養素が多く含まれる食品を紹介します。
月経の前にイライラや眠気、だるさや食欲の変化などが起こる月経前症候群、また生理不順などの月経トラブルによいとされるビタミン・ミネラル。
栄養素 | どんなはたらきをするの? | 多く含まれる食品 |
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ビタミンB6 | 女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が増えるとともに不足しがちに。月経前の不定愁訴を防ぐ効果があります。 | かつお、まぐろ、白さけ、さんま、牛レバーなど |
ビタミンE | 血液の循環をよくし、生理痛をやわらげる効果もあります。 | アーモンド、にじます、へーゼルナッツなど |
葉酸 | 細胞の新生を促し、月経前に起こりやすい口内炎などの症状を防ぎます。 | レバー(鶏・牛・豚)、菜の花、枝豆など |
カルシウム | 精神を安定させる作用があり、月経前のイライラなどを防ぎます。 | 田作り(ゴマメ)、干しえび、どじょう、わかさぎなど |
マグネシウム | 月経前のむくみ感や不安感を防ぎます。カルシウム2に対し、1の割合で摂取します。 | ごま、ピーナッツ、玄米、納豆、カキなど |
血行不良を改善するといわれるビタミン・ミネラル。不足すると肩こりや頭痛、貧血、冷え性などが引き起こされることもあります。
栄養素 | どんなはたらきをするの? | 多く含まれる食品 |
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ビタミンE | 抗酸化作用により血液をサラサラにし、冷えなど血行不良の諸症状を改善します。 | アーモンド、にじます、へーゼルナッツなど |
葉酸 | 赤血球の新生を促し、悪性貧血を防ぎます。 | レバー(鶏・牛・豚)、菜の花、枝豆など |
ビタミンB12 | 葉酸とともに赤血球の新生を促し、悪性貧血を防ぎます。 | レバー(牛・鶏)、カキ、さんま、あさりなど |
鉄 | ヘモグロビンに含まれるミネラルです。不足すると血液が合成されず、貧血に。 | 天然あゆ、かわのり、干しひじき、あさり水煮など |
銅 | ヘモグロビンと鉄の合成に必要です。 | ほたるいかの燻製、牛レバー、しゃこなど |
自律神経のバランスを崩し、心身に影響を与える自律神経失調症や、抑うつによいといわれるビタミン・ミネラル。
栄養素 | どんなはたらきをするの? | 多く含まれる食品 |
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ビタミンC | ストレスに対抗する副腎皮質ホルモンの生成に関わります。 | アセロラ、グアバ、赤ピーマン、菜の花など |
ビタミンB1 | 脳や神経のエネルギー源となる糖質の分解を促進し、精神を安定させます。 | 豚肉(ヒレ・モモ)、うなぎの蒲焼、たらこなど |
ビタミンB12 | 中枢神経のはたらきに関与し、脳のはたらきをよくします。不眠の解消にも。 | レバー(牛・鶏)、カキ、さんま、あさりなど |
葉酸 | 神経細胞、脳の神経伝達物質の産生に関わります。不足すると不眠などの症状が現れます。 | レバー(鶏・牛・豚)、菜の花、枝豆など |
パントテン酸 | ストレスに対抗する副腎皮質ホルモンの合成を促します。 | レバー(鶏・牛・豚)、子持ちガレイ、にじますなど |
カルシウム | 脳や神経の興奮を鎮め、精神を安定させます。不眠にも有効です。 | 田作り(ゴマメ)、干しえび、どじょう、わかさぎなど |
女性に特有の症状の軽減に「葉酸」の摂取はとても大切です。月経に関連する不調や貧血、神経症状などに広く関わっています。葉酸は水溶性のビタミンB群の一種です。最初に抽出されたのがほうれん草からだったため、ラテン語で葉を意味する「フォリウム」からその名がつけられています。