最近では洗剤にも含まれているという酵素。そして、酵素がはたらくためには補酵素が必要であるという。さて、酵素、補酵素とはどんなものなのだろうか。
人間の体は、約60兆個の細胞からできており、それぞれの細胞は食物から取り入れた栄養素を燃やして、生きていくために必要なエネルギーを作り出している。しかし、人間の生命活動は消化だけではなく、呼吸をしたり、筋肉を動かしたりと多様なもの。そのすべての生命活動のための化学反応に「酵素」は活躍している。
酵素はたんぱく質からできており、ミネラルに巻き付いた構造をしているものもある。中心になるミネラルの種類やたんぱく質の巻き付き方によっていくつもの種類があり、現在発見されている酵素は約3,000種だ。消化を助ける消化酵素以外に、代謝酵素や食物酵素などがある。
消化や代謝、はたまた食品の中に含まれて発酵を助けるなど、さまざまなはたらきのある酵素。しかし、それだけではスムーズにはたらけない酵素もある。そこで、登場するのが「補酵素」だ。
例えば、体内でAが酸化されてBになる(Aから水素が取り除かれる)という酵素反応が起こる場合、Aの水素を引き取る相手がいなければ、酵素やAがたくさんあってもBを生成することはできず、そこで反応は止まってしまう。この水素の引き取り手が「補酵素」というワケなのだ。
ある種の補酵素は、主に人間が食事で摂取したビタミンからつくられている。
ビタミンの中でも、特にB群のビタミンは、体内で代謝に関与する補酵素の構成材料として重要な生理機能を持っている。
例えば、ビタミンB1は糖質代謝の補酵素として、ビタミンB6はアミノ酸やたんぱく質代謝の補酵素として、ナイアシンは酸化や還元などの脱水素酵素としてはたらいている。
これらのビタミンがなくては反応がストップしてしまう、いずれも重要な補酵素である。
みなさんは「コエンザイムQ10」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「コエンザイムQ10(CoQ10:コーキューテン)」と呼ばれる物質も補酵素であり、人間の生命活動になくてはならない存在なのだ。厳密には、ビタミンの定義には当てはまらないためビタミンではない。しかし、ビタミンと同じようなはたらきをするため、「ビタミンQ」とも言われている。
さて、このコエンザイムQ10、どんなはたらきをするのか「注目!「コエンザイムQ10」入門講座」を見てみよう!
英語で酵素のことを「enzyme」という。これに補うという意味の「co」が付いたものが「coenzyme=補酵素」である。また、コエンザイムQ10は、別名「ユビデカレノン」とか、「ユビキノン10」と言われ、その語源はラテン語の「Ubuiquitous(普遍的に存在する)」からきている。