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ここがポイント!医療保険とがん保険の選び方

あなたは医療保険やがん保険に加入していますか?それは必要なものですか?医療保険やがん保険の必要性と、どんな保険にどのくらい入るのがいいか…。あなたと、あなたのライフスタイルに合わせた保険の選び方、家計バランスから見た見直しのポイントなどをご紹介します。

STEP1/ほんとうに保険が必要なの?

はたして、今のあなたにとって、医療保険やがん保険は本当に必要なのだろうか?

院した場合に必要と思われる資金の月額
出典:平成12年度
「生命保険に関する全国実態調査」
生命保険文化センター

これについては、個人の懐事情と考え方で決まるというほかはない。十分な貯蓄があり、たとえ世帯主が長期入院したとしても家計的にやっていけると考えるのであれば、医療保険などは不要だ。

だが、病気によってさまざまとはいえ、入院日数の平均は約40日。世帯主が入院した場合に必要と思われる健康保険診療の範囲外の資金は、ひと月に平均31.7万円。なかなか貯蓄などではまかないきれない家庭のほうが多いのではないだろうか。

ただ、医療保険やがん保険に入ったからといって、貯蓄をおろそかにしていいわけではもちろんない。医療に対しては、保険と貯蓄の両輪で備えることが重要である。

平均在院日数

平成11年9月1日~30日(単位:日)

傷病分類 15~34歳 35~64歳 65歳以上
胃がん 37.638.743.5
大腸がん 24.431.243.8
肝臓がん 42.134.232.7
気管・気管支・肺がん 30.340.646.7
糖尿病 20.932.462.2
高血圧性疾患 20.023.977.8
心疾患(高血圧性のものを除く) 15.915.140.0
脳血管疾患 43.468.5124.7
  • 注:退院患者平均在院日数は、主傷病についてみた場合

出典:平成11年「患者調査の概況」厚生労働省

STEP2/医療保険はどう選ぶ?

さて、医療保険は必要なものと考えた場合、どのくらいの医療費を用意すればいいのか。その目安となるものをご紹介しよう。

「必要な医療保障の目安」は、家族の状況や構成を考慮したもの。医療保険は、入院したら1日いくら出るかが保障の目安となるため、日額で計算されている。このうち、自営業者やひとり親家庭が高めなのは、減収分をカバーすることや子供にかかる経費が増えることを想定しているためだ。

また、保険といえば、種類が多くて「面倒」「難しい」「複雑怪奇」の代名詞のように言われるもの。一体、自分に必要な保険が選べるのか不安でもあるだろう。簡単なチェック項目を用意したので、見てほしい。

必要な医療保障の目安

職業 性別 医療保障
(日額)
シングル男・女5,000円程度
DINKS 5,000円程度
5,000円程度




会社員・公務員 5,000~1万円
5,000~1万円
自由・自営業 1万円程度
5,000~1万円
専業主婦5,000~1万円
ひとり親男・女1万円程度

出典:「家庭の財政学」NTTイフライフプラン研究会
ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓

自分に必要な保険をチェック!

Check●
必要な入院日額をいくらにするか

「必要な医療保障の目安」の表を参考に、自分に必要な日額を決めよう。貯蓄が少ないと感じているなら、やや高めに設定すると安心だ。

Check●
入院保障は何日目から何日後までつけるか

現在の医療保険の主流は、1泊2日の入院から保障される2日型と、5日型。2日型のほうがトクなようだが、1日分の給付金では、病院に支払う診断書代などで消えることもままある。十分に検討しよう。また、給付日数も要チェックポイント。最長1,000日、無制限などがある。もちろん長いほど支払う保険料が高くなるので、自分なりのコストと保障のバランスを考えよう

Check●
定期型か終身型か

いつ病気になるかわからないため、医療保険は終身型が基本となり、生涯コストも定期型より安くなる。だが、現在のコストを抑えたい、または将来的には医療費は貯蓄でまかなうといった考え方なら定期型がベターだろう。

Check●
特約はつけるか

医療保険には、シンプルに入院や手術の費用をカバーするものもあるが、多くは特約としてがん保障や介護保障が用意されている。これは医療費でどこまでカバーするか、が検討のカギになる。つければコストがアップするため、これもコストと保障のバランスを考える必要がある。

Check●
どの保険会社にするか

解約返戻金をなくして支払い保険料を低く抑えているところ、一定期間に病気をしなかった場合には保険料が下がるところ…。保険会社によって、さまざまな特徴がある。それぞれの特徴も検討しよう。

STEP3/がん保険はどう選ぶ?

がん保険とは、文字通り、「がん」という特定の病気について手厚く、さまざまな角度から保障が考えられているもの。これに加入するかどうかは、がんに対するリスクを自分がどの程度感じているかで決まるだろう。家系的にがんの心配があるのなら、入っておいたほうが安心ではある。

主ながん保険の特徴

Check●
最初にまとまった一時金が出る

がんと診断されたとき、入院したときと保険会社によって多少の違いはあるが、がんとわかった早い段階で一時金が出るため、希望によって健康保険の対象外となる先進医療や民間医療などの自由診療を受ける余裕を持つことができる

Check●
入退院を繰り返しても給付金が支払われる

支払い限度日数が設けられていない(つまり無制限の)ため、がんで入院した場合は常に入院日数分の給付金が受け取れる。長期入院や、入退院を繰り返すときにも安心だ。

Check●
実損てん補タイプが登場

がん保険も、他の保険と同様に、がんと診断されたときにいくら、入院給付金はいくら、と契約時に決まっている定額払いがこれまでの主流。だが、2001年に実損てん補タイプが登場。これは自由診療を前提としたもので、医療費のほぼ全額をまかなうことができる。

Check●
保険会社によって種類はさまざま

がん保険は、保険会社によって一時金の額はもちろん、通院給付金があるものないもの、がんが再発したときは何度でも診断給付金が受け取れるものと1回だけのものなど、実に種類が多い。それぞれの特徴をよく見極めて選ぼう。

Check●
注意!加入時の条件と待ち期間

がん保険の対象は、初めてがんにかかった人。つまり、がんと診断されたことがある人は入れないのだ。もちろん本人が告知されておらず、知らずに加入した場合でも対象外となるので要注意だ。また、がん保険には、3ヵ月の待機期間が設けられているのが一般的。この期間にがんが発見されると保険は無効となる。

特定の病気に備える保険は、がん保険以外にも!

特定疾病保障保険というのをご存知だろうか。これは、がんや急性心筋梗塞、脳卒中によって、所定の状態になったときに受け取れる保険。主に、医療保険の特約として「三大疾病特約」などとしてオプション的に付加するものと考えられているが、主契約にすることもできる。もちろんほかの保険と同様、定期保険にすることも終身型にすることもできる。特定の病気へのリスクが高いと考える場合は、こうした保険でカバーする方法もあるのだ。

保険を見直すコツとポイント

将来の病気やケガの心配をはじめるとキリがなく、保障はいくらでも厚くしたくなるのが人情というものだろう。だが、必要性の少ない保険に入って「保険ビンボー」になってしまっては本末転倒というもの。

必要な保障は、家計のバランスからも見直してみよう。例えば独身で一人暮らしなら、月収に占める保険料の割合は5%、親と同居しているなら3%が目安といった具合だ。また、子供のいる家庭では、子供の成長に合わせても見直しの必要が出てくる。小さいうちは保障も厚めにしたいが、大学生ともなれば8%程度に抑えてもいい。

大切なのは、自分のライフスタイルに合っているかどうか。また、定期的に見直しをしていくこともお忘れなく。

保険料の適正割合

子供のいないサラリーマン家庭(妻は専業主婦かパート)月収の5%
子供のいない共働きサラリーマン家庭月収の8%
小学生以下の子供がいるサラリーマン家庭/住居費がかからないサラリーマン家庭月収の10%
自営業の家庭月収の12%
  • ※保険料とは、家族全員の生命保険料と損害保険料の合計額。こども保険や養老保険などの貯蓄目的の保険料は含めない。

出典:「ライフスタイル別 家計の方程式」畠中雅子著 生活人新書

公開日:2002年12月16日