疾患・特集

食生活とあなたの頭痛の深~い関係

「MBT」という言葉をご存知ですか?「分子治療」といって、頭痛を食事から改善しようという治療法です。ちょっと難しい言葉ですが、要するに頭痛は体のある物質が足りなくなったり機能が弱くなったりして起こるもの。それを食事で補おう!という考え方のことなのです。

慢性頭痛…痛みの原因は毎日の生活に!?

日常生活でふいに訪れる頭痛。忙しいときや楽しみにしていた予定の前に痛み始めると、本当につらいもの。このように日常的に起こり、命に関わることのない頭痛を慢性頭痛(または機能性頭痛)と呼ぶ。主に頭の血管が拡張したり、頭周りの筋肉のコリによって引き起こされ、ズキズキしたり、締め付けられるように痛んだり、症状もさまざま。日本では成人の3人に1人が何かしらの「頭痛持ち」と言われているほどポピュラーなものだ。
慢性頭痛は大きく「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3つに分類することができる。

それぞれのタイプによって原因や対処法が違うので、自分の頭痛を正しく認識しておくことが大切。どの頭痛も、日常生活の中に原因を見つけることができるので、つらい痛みを改善するためには、自分の頭痛を誘発する要因を日常生活からできるだけ取り除くように心がけよう。

食事から考える頭痛治療法「MBT」

MBT(Molecule-based therapy)」という言葉をご存知だろうか?鳥取大学臨床検査医学助教授・下村登規夫先生が提唱する「主に食生活から頭痛改善を図る方法」で、日本語に訳すと「分子に基づいた治療法」という意味になる。
頭痛の原因を分子レベルから捉えようという考え方で、その人の病歴や診察の記録、生活習慣を参考に、食事を含めた生活指導や投薬を行う治療概念だ。

MBTで用いる分子は、電解質・神経伝達物質・ビタミン・ミトコンドリアといった頭痛に関与するものを指している。足りなかったり機能が低下しているときに頭痛が引き起こされる分子を「標的分子・システム」と呼び、標的分子・システムを補ったり除去するものを「攻撃物質・分子」と呼ぶ。攻撃物質・分子は主に食品から摂取する。

頭痛の「標的分子・システム」と「攻撃物質・分子」

片頭痛の場合、「標的分子・システム」はセロトニン、交感神経系、ミトコンドリア、マグネシウム、ラジカルスカベンジャー(活性酸素の毒消しをする物質)の5つ。MBTではこの5つが足りなかったり機能が低下しているときに片頭痛が引き起こされるという考え方。
標的分子・システムを補ったり除去したりしてバランスを整える「攻撃物質・分子」はビタミンC・E・A・B群、マグネシウム、ラジカルスカベンジャー、トリプトファン(アミノ酸の一種で神経伝達物質・セロトニンをつくる材料)があげられる。食品ではないが、ウォーキングなどの歩行運動も交感神経を安定させる効果があると考えられている。基本的に緊張型頭痛や群発頭痛も片頭痛における「標的分子・システム」と「攻撃物質・分子」と同じ考え方である。

「頭痛持ち」なら、まんべんなく食べよう!

では実際に攻撃物質・分子がどんな食品に多く含まれているかを見てみよう。頭痛持ちの人なら、これらの食品群をまんべんなく食べることが大切!

攻撃物質・分子 含有する食品群
ビタミンCいちご、じゃがいも、緑茶、みかん、緑黄色野菜
ビタミンE大豆、うなぎ、落花生
ビタミンAにんじん、ほうれん草、バター、チーズ、牛乳、卵黄
ビタミンB群豚肉、大豆、うなぎ、ゴマ、卵、緑黄色野菜
マグネシウムほうれん草、柿、大豆製品、魚介類
トリプトファン大豆製品、卵黄、牛乳、ゴマ
公開日:2002年11月11日