疾患・特集

こうして守ろう、大人の歯

顔の印象を左右する大切な歯。虫歯や歯周病から守るために、フッ素や塩、重曹など歯磨き剤に使われる成分や、歯ブラシの選び方、ブラッシングの仕方にこだわってみました。また、喫煙と歯周病の関係についてもまとめています。

歯は第一印象を左右する!?

「さわやかな笑顔」と聞いてあなたがイメージするのは、歯並びのそろった、若々しい口元をした笑い顔だったりするのではないだろうか?

歯はあなたの第一印象を左右している。奥歯が失われたり、歯周病で歯並びが乱れてくると顎のラインにも当然変化が及び、実年齢より老けて見られることも往々にしてある。いつまでも若々しくあるために、まずは自分の歯に関心を持ち、日々のケアで歯周病や虫歯を防ぐことを心がけたい。

大人の歯を守る3つのポイント

根面う蝕から歯を守れ!フッ素の作用

大人の歯の脅威は歯周病だけにあらず!もちろん虫歯も歯を失う大きな原因のひとつだ。
大人には大人特有の虫歯があることをご存知だろうか?「根面う蝕」といい、歯周病が原因で歯ぐきがやせて歯根の部分が出てしまい、そこにできる虫歯だ。歯根の表面は歯冠部より軟らかく、虫歯になりやすいので特にケアが必要。
歯の表面を硬く丈夫にする効果のあるフッ素入りの歯磨き剤で「食べたら磨く」を実行しよう。

歯ぐきを引き締めよう!塩の作用

歯ぐきの状態が悪くなると、歯ぐきがハレたり歯が浮くような感じになる。歯ぐきのハレを防ぐには歯ぐきを引き締めてあげることが大切。日本では古くから指に塩をつけて歯を磨く習慣があり、塩には歯ぐきをひきしめる作用がある。
なんとなく歯が浮くような感じがしたら、塩入り歯磨き剤に変えてみるのもおすすめ。

アルカリで口の中を中和させよう!重曹の作用

歯垢があることで、口の中で酸が生じると根面う蝕の原因にもなってしまう。
この酸を中和させる身近な素材として重曹がある。重曹とは薬局などで「炭酸ナトリウム」として売られているもので、酸を中和させるはたらきとともに、歯ぐきをひきしめる作用もあると言われている。

自分でできる歯周病予防1…ブラッシング

日本では、歯を磨く習慣はほぼ定着しているのに、虫歯や歯周病にかかる人は一向に減らない現状がある。その原因は磨き残しにある。せっかく磨くのだから、正しい磨き方で歯垢を確実に落とすようにしよう。その際、「歯は清掃、歯肉はマッサージ」という感覚で行いたい。

磨き残しやすいところ

歯ブラシ 植毛部の大きさや毛の硬さをチェック!植毛部が大きすぎると奥歯まできれいに磨きにくいし、歯肉が腫れている人には毛の硬いものは向かない。最近は人体工学に基づいて、磨きやすさを追及した歯ブラシも登場している。歯ブラシひとつでも磨き心地がまったく違ってくるので、歯ブラシの切り替え時(毛が開く前。月1回程度が望ましい)に新しい物を試して自分にぴったりの1本を見つけてみては?
デンタルフロス 細いナイロンの糸で、歯と歯の間や歯と歯肉の境目などの歯垢を落とすために使う。
歯間ブラシ 歯と歯の隙間が大きく開いている人、ブリッジや部分義歯を使っている人に。

自分でできる歯周病予防2…よく噛もう!

「よく噛むこと」は歯周病の予防にも効果的だ。
第一に、唾液には殺菌作用がある。よく噛むことで唾液の量が増え、歯周病菌が増え過ぎないようにコントロールしてくれる。第二に、噛むことで歯ぐきや歯周組織が鍛えられ、歯周病菌から受けるダメージも少なくてすむ。
毎日の食事に「噛みごたえのある食材を使う」「大きめに切る」「水分量を減らす」などのひと工夫をプラスすることで噛む回数もアップするはず。

歯周病予防にも「禁煙」が近道!

歯周病とたばこ。一見何の関係もなさそうだが、実は喫煙習慣は歯周病にかかりやすくなる最大の因子とも言われている。10年後、20年後のあなたの歯を、今日のたばこで失うことになりかねない。歯周病を防ぐためにも、ぜひ禁煙を!

たばこによって歯周病にかかりやすくなる・進行を早める理由

  • ●新しい組織を作る細胞の増殖を、たばこの有害物質が妨げる
    歯周病菌に対抗する体の防衛機能が喫煙によって阻害され、その結果歯周病の進行を早めたり歯ぐきの治癒が遅くなると考えられている。
  • ●ニコチンの影響で歯肉に炎症が出にくくなり、歯周病の発見が遅れる
    長年の喫煙習慣によって歯肉が硬くなると、歯周病が進行していても歯肉の表面に炎症が現れず、見逃してしまいがち。
公開日:2002年10月28日