疾患・特集

妊婦じゃなくても葉酸は必要!

「男だから」「妊娠なんてしないから」葉酸は必要ない、なんてことはありません。葉酸は増血ビタミンとも言われるほど、血液と深く関係しています。葉酸が不足すれば、貧血や疲れ、皮膚の炎症や口内炎などを招きます。

葉酸は、男性や妊婦以外の女性にも必要

もちろん、葉酸が必要なのは、妊婦や妊娠する可能性のある女性だけではない。

1998年2月4日付けのニューヨークタイムズ紙に、ビタミンB群を多量に摂ると女性の心臓発作の危険性が半減するという研究報告が掲載された。このビタミンB群の中で注目されたのは、ビタミンB6や葉酸であるという。
さらに、葉酸とビタミンB6を多量に摂取しつつ、アルコール飲料を1日1杯程度飲んだ場合は、なんと心臓発作の危険性が75%低下したという。これは、ビタミンB6や葉酸に血中のアミノ酸ホモシステイン濃度を下げ、血管の流れを妨げないようにするはたらきもあるからなのだ。

また、葉酸には赤血球の合成や赤芽球の分裂などに関与するはたらきがあるため、貧血気味、疲れやすいなどの症状がある人も葉酸やビタミンB12を摂取する必要がある。

葉酸は妊婦だけのものじゃない!

葉酸はビタミンB12と切り離せない

「じゃあ、葉酸だけを摂っていれば大丈夫なの?」というと、これは誤り。 葉酸とビタミンB12はお互いに補い合ってはたらいているため、どちらか一方が不足すると十分に作用しない。赤血球の製造を行う葉酸と、その葉酸を助けるビタミンB12のはたらきが必要なのだ。
ビタミンB12と葉酸は、どちらも「増血ビタミン」ともいわれ、赤血球の形成、再生に関係している。どちらか一方が不足しても赤血球が減り、貧血が起こりやすくなるというワケ。

ビタミンB12のはたらき

ビタミンB12は主に肝臓に蓄えられている。そのためビタミンB12が不足して起こる貧血は、鉄分不足による貧血よりも悪性で、貧血の一般症状以外にも、胃腸障害や頭痛、全身の倦怠感、舌の炎症などが現れる。
また、ビタミンB12は神経にも関与しているため、不足すると中枢神経や末梢神経の障害が起こることもある。
要は「バランスよく摂る」ことが必要なのだ。

現代人は不足気味

ここ最近日本でも、ビタミン摂取の重要性に注目が集まり、意識してビタミンを摂取するようにはなってきたが、ほかのビタミンに比べるとやはり葉酸は摂取不足気味。
21~22歳の若い女性244名を対象に、3日間葉酸摂取実態を調査したところ、190±70μgという結果が得られた(平岡真美ら:ビタミン、74巻5-6号)。成人の1日の必要摂取量が200μgであることから考えると、やはり不足しているといわざるを得ない

その要因は、ひとつは食生活の変化。インスタント食品やコンビニ食に頼る食生活では、ビタミン不足は避けられないことである。
また、喫煙やアルコール類の多量摂取でも葉酸は破壊されてしまうのだ。

葉酸不足を招かない生活を心がけよう!
(葉酸を摂取できる食生活はこんなもので葉酸を摂取!をご覧ください。)

公開日:2002年6月3日