疾患・特集

音楽によって癒される理由

ヒトはなぜ音楽で癒されるのでしょうか?そのメカニズムには生体と音にあるゆらぎが大きく関係しています。

音楽を聴くと、心が安らぐワケ

川のせせらぎ

大きくなったり小さくなったり、強くなったり弱くなったりする連続的だけど、一定ではない揺れのことを「ゆらぎ」という。じつは、この「ゆらぎ」に心が安らぐ秘密があるのだ。
ゆらぎに含まれる波動をf(周波数)という記号で表すと、人の生体リズムや自然界には、1/fというゆらぎがあるという。
例えば人の心臓の鼓動には1/fゆらぎがあり、川のせせらぎや虫の声などにも1/fゆらぎがある。そのお互いの振動が共鳴すると、美しいと感じ、和ませてくれるのだ。

音楽と癒しの歴史

ゆらぎは3種類ある

ゆらぎには大きく分けて3種類の性質がある。
波動はそれぞれパワー(強度)を持っており、そのパワーとゆらぎのf(周波数)との関係をグラフにしてみると、

ゆらぎのf(周波数)

  • ●周波数によらない一定のパワーをもつもの。グラフでは、水平になる(1/f0)。
  • ●45度の傾きを示すもの。これが、1/f1
  • ●さらに鋭角的な角度を示すもの。これが1/f2

ちょうどいいのが1/f1

1/f0は、刺激性の強い音のもの。例えば、地震や山崩れ、激しい音楽など。また、非常に規則的でゆっくりしすぎている音が1/f2。時計の秒針や機械的な電子音などがこれにあたる。
あまりに激しい音楽は脳が疲れてしまうし、あまりに単調なら、眠たくなってしまう。つまり、心や体にとって、ちょうどいいのは、その中間である1/f1ゆらぎになるというわけだ。

1/f1ゆらぎはここにある!

  • ●クラシック音楽
  • ●川のせせらぎ
  • ●般若心経(単調に聞こえるが、じつは言葉自体にもゆらぎがある名調子)
  • ●ヒトラーの演説(激しい口調のようだが、そこには1/f1ゆらぎがあったらしい。そのおかげでヒトラーは大衆の心をつかんだ!?)

参考文献:「音楽は驚異の『聴くクスリ』」 渡辺茂夫著 PHP

脳と音楽の関係

リラックスしているときの脳波は「α波が出ている」などとよく言われる。これは、脳から出ている脳波はその心身状態によって異なり、とくにリラックスした気持ちでいる時の脳波がα波である、というわけだ。クラシック音楽を聴けば、必ずα波が出る、とは言えないが、出やすいことは確かなようだ。
1/fゆらぎとの直接的な関係も、はっきりしたことはわかっていないが、α波が安らぎの一つの指標になっているようだ。

脳波の種類

  • ●δ(デルタ)波
    かなり熟睡している時に出ている脳波。
  • ●θ(シータ)波
    浅い眠りの時の脳波。いわゆるうたた寝の時。
  • ●α(アルファ)波
    心身ともに安らいでいる時の脳波。
  • ●β(ベータ)波
    日常生活を送っている時の脳波。一般的にこの状態の時が多い。
  • ●γ(ガンマ)波
    怒っている時や、興奮している時の脳波。
公開日:2001年4月9日