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温泉にはいろんな効能がある

温泉は含まれている物質によって効能が異なります。あなたの気になるところに効くのはどんな温泉でしょうか?温泉の分類についてご紹介します。

含まれている物質による温泉分類法

温泉にはいろいろな分類法があります。例えば、温度、浸透圧、水素イオン濃度(酸性、アルカリ性など)です。このなかで、最もよく知られているのが、泉質(温泉に含まれる物質)による分類法です。泉質によって効能が異なります。

泉質名 特徴・効能
単純泉 含まれている成分濃度が薄い温泉で日本の代表的な温泉に多い。常に34度以上の湯温で、無色透明無臭のものが多く、体に対して刺激が少ないので入りごこちがよい
薄いとはいえ含まれる成分はさまざまなので、温泉によって効能は異なる。
単純二酸化炭素泉 日本には少ない。熱く沸かすと二酸化炭素が逃げてしまうため、34度以下のぬるい温泉が多いが、入浴後もポカポカ
炭酸ガスが抹消血管を拡張させ、循環器疾患に効果があることがわかっている。
炭酸水素塩泉 ナトリウム炭酸水素塩泉(重曹泉) アルカリ性で、皮脂や老廃物を洗い流すため肌がスベスベになるので、「美人泉」とも呼ばれている。
カルシウム(マグネシウム)炭酸水素塩泉 鎮静作用があり、炎症をおさえるはたらきをする。
ナトリウム-塩化物泉(食塩水) 成分は海水に似ている。入浴後の保温効果がよく「熱の湯」と呼ばれる。日本に多い泉質。
硫酸塩泉 ナトリウム硫酸塩泉 動脈硬化、高血圧などに効果。
カルシウム硫酸塩泉(石膏泉) 鎮静効果があり、打ち身、ねんざ、切り傷、火傷などのほか、動脈硬化などにも効果。
マグネシウム硫酸塩泉(正苦味泉) 硫酸マグネシウムのみを多量に含む温泉はほとんどなく、上の2つに少量マグネシウムが加わるといった温泉が多い。というわけで、上の2つと同様の効果がある。
アルミニウム硫酸塩泉 皮膚や粘膜を引き締める。慢性湿疹、真菌症などに効果。世界の中でもとくに日本に多い泉質。
含鉄泉 炭酸鉄泉 卵巣機能不全症など婦人病に効果。鉄イオンは酸化されやすく、時間がたつと、お湯に錆色の沈殿物ができる。こうなってしまうと効果は半減。
緑ばん泉 銅、コバルト、マンガンなどを含んでいるものが多く、造血作用を高める。
硫黄泉 俗にたまごの腐ったような…と表現される独特の臭いが特徴。たんを出しやすくしたり、心臓の動脈を拡張させたり、解毒作用があったりと、効能は多い。ただし、刺激が強い湯であるので、高齢者や病弱、皮膚の弱い人には不向き。
酸性泉 酸性のため、湯が肌にしみる。皮膚の弱い人はただれたりすることもあるから注意。抗菌力があるため、水虫などに有効
放射能泉 日本では俗にラドン温泉と呼ばれるものが多い。利尿作用があり、高尿酸血症や痛風に効果。

効能といっても、もちろん1、2泊したくらいで効果が現われるわけではありません。真剣に温泉療法を考えるなら温泉療法医、温泉認定医などの指導のもと、その地に腰を据えて治療に励む必要があります。