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もし、がんにかかったら…入院日数や費用はどのくらいかかる?

がんにかかったらどのような治療が行われるのでしょうか。治療費はどのくらいかかるのでしょうか。がんの治療現場をのぞいてみましょう。

がんの部位別平均入院日数

次の表は、がんの部位別の平均入院日数です。がんの治療のためには大体1~2ヵ月は入院が必要なようです。また、回数も1回ではすまないのが現状です。

がん 2005年 2002年 1999年 1996年
胃がん 34.6日39.3日41.8日47.1日
結腸がん 27.8日32.0日37.2日37.1日
直腸がん 33.6日38.4日42.2日45.6日
肝臓がん 26.9日30.4日33.2日38.4日
肺がん 34.1日39.7日44.8日50.1日
乳がん 17.0日27.8日30.0日36.1日
子宮がん 21.6日31.4日34.9日42.2日
悪性リンパ腫 37.5日52.4日63.5日72.4日
白血病 57.9日64.2日63.5日68.9日

出典:「患者調査」厚生労働省

がんの主な治療方法

健康診断などでがんが発見されたら、どのくらい進行しているのか「病期の判定」を行なうとともに、がんの組織型(がんがどの細胞にできているのか)を調べます。例えば、同じ胃がんでも、粘膜にできているがんと、筋肉部分にできているがんでは治療法が異なるからです。
このような検査を行った後、治療方法が検討されます。以下、主な治療方法を簡単に紹介します。

■外科療法

がんの発生した部位から転移したところまでをまとめて切り取る治療法です。いわゆる手術です。現在は、転移したところまでごっそり切り取る「拡大手術」と、切り取る範囲をできるだけ最小限におさえる「縮小手術」の技術が発達してきています。

■内視鏡療法

長い管の先に特殊なカメラをつけた内視鏡は、消化管内などの病巣の検査のほか、先に細いワイヤーを輪にしたものをとりつけて、がんに侵されたところを切りとるなど、治療にも活用されています。ただし、内視鏡を用いて治療できる部位などは限定されています。

■レーザー療法

高出力レーザーを使って腫瘍を焼き切る方法と、低出力レーザーを使う光線力学的治療法があります。周りの正常な部分への影響を最小限におさえつつ、がんを焼き切ることができます。

■放射線療法

がんに侵されたところに放射線をあてると増殖をおさえることができます。早期のがん(喉頭がん、乳がんなど)であれば患部を切除しないで治すことができます。また、末期がん患者の苦痛を和らげるのに用いられることもあります。

■化学療法

いわゆる抗がん剤を使って、がん細胞を破壊する治療法です。静脈に注射をしたりすることで、抗がん剤が血液中を通り全身に運ばれるため、白血病などのがんに使用されます。また、手術療法や放射線療法の前後に使用されることもあります。

これらの治療法のほかにも、ホルモン療法、温熱療法、免疫療法など、さまざまな方法が考案されています。また、上で述べた治療についても、いくつかを組み合せて行うケースが多いようです。
このようにがんの治療技術は格段に向上してはいますが、それぞれ合併症や副作用などの危険性を伴うケースも多いようです。この点についても、医師の説明をよく聞いて納得した上で治療に臨む必要があります

治療費はどのくらいかかる?

がん治療にかかる費用は、がんの部位や病期、治療方法で異なるため、一概には言えないのが現状です。ここでは、一般的にどのような費用がかかるのかまとめました。

がんの治療費

  • 健康保険の対象となる治療については、本人の負担は医療費の3割となります。なお、自己負担額は1ヵ月あたり80,100円+(総医療費-267,000円)×1%が上限であり、それを超過した分の金額は健康保険から払い戻されます。ですが、例えば10月半ばから11月まで治療にかかった場合、10月、11月の治療費が80,100円を超えないと払い戻しはありません。また、手続きに3~4ヵ月かかるため、一時期医療費を負担しなくてはなりません。
    なお、平成29年8月から、70歳以上の方の上限額が変更となります(高額療養費制度を利用される皆さまへ:厚生労働省)。
  • 先進医療とは、要件を満たして承認されたもので、これらの医療は特定の承認を受けた病院で行われます。ただし、一般的な治療にも共通する検査、投薬、入院料などは健康保険の給付が受けられますが、「先進医療に係る費用」は患者が全額自己負担になります。
  • このほか、健康保険の対象外である抗がん剤などを利用する場合、実費分を自己負担することになります。

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更新日:2020/09/25