疾患・特集

ご存知ですか?早期老化症候群

早期老化症候群とは、一般よりも早く老化現象が出現し、早い人は子どものうちに亡くなってしまう病気です。老化を確実に早め、場合によっては寿命をも縮めてしまう、遺伝子の異常による病気は、私たちの身近に存在しています。

10代なのに老衰で死亡!?

早期老化症候群」という言葉、耳慣れない方も多いでしょう。これは、一般よりも早く老化現象が出現し、早い人は子どものうちに亡くなってしまう病気です。現在は、3つの病気が確認されていて、主な原因は遺伝子の異常によるものだと考えられています。そのうちのひとつをご紹介します。

ハッチンソン・ギルバート症候群

幼児のときまでは普通の子どもの発育と変わりませんが、しばらくすると発育の遅れが目立ち、成長がまったく止まってしまいます。体が痩せ、皮膚にしわやしみなどが出て、はげてくることもあります。最終的には10~15歳で心筋梗塞や脳卒中で亡くなってしまいます。

ただし、この病気にかかっても、白内障やがん、ぼけなどが起こることはありません。つまり、老化現象すべてが起こるわけではないのです。また、ほかの2つの病気でも、一般的な老化現象がすべて発現することはありません。
つまり、これらの病気は、遺伝子の異常によって老化現象のうちのいくつかが早期に発現し、そのなかの致命的な現象によって若くして命を落としてしまう病気というのが正確なところのようです。

身近な「早期老化症候群」は、生活習慣病

先に紹介した病気は、何十万人、何百万人に1人といった割合で発現する珍しい病気です。しかし、これだけ極端でなくても、老化を確実に早め、場合によっては寿命をも縮めてしまう、遺伝子の異常による病気が私たちの身近に存在します。これらの病気を発表したのはアメリカの遺伝学者で病理学者でもあるマーティン。すでに20年も前のことです。

このなかに含まれているのが、脂質異常症、高血圧症、動脈硬化、糖尿病などのいわゆる生活習慣病です。現在は、これらのどの病気についても遺伝的な要因が大きいことがわかっています。しかし、この場合の遺伝的要因は先程紹介したハッチンソン・ギルバート症候群のような珍しいものではありません。また、遺伝的な要因がなくても食生活の乱れや運動不足でも発病する可能性の高い病気なのは皆さんご存知の通りです。糖尿病にいたっては日本人の10人に1人が予備軍だと言われているほどです。

ここまでくると、中年期の生活次第で20~30年後の生活&寿命が決まるというのがおわかりになるでしょう。

早期老化を促進する真犯人は「活性酸素」?

早期老化症候群のひとつ、動脈硬化を促進する大きな原因として最近注目されているのが 「活性酸素(フリーラジカル)」です。
酸素は、食事で得たブドウ糖などと結びついて燃焼し、私たちの体を動かすエネルギーを発生させています。このように酸素が物質と結びつくはたらきを「酸化」と言いますが、普通の酸素以上に物質の酸化を活発に行う酸素が存在します。これが活性酸素です。この活性酸素は体内に侵入する細菌やウイルス、がん細胞などを撃退するなど、体内で重要な役割を担っています。

その一方で、活性酸素は悪玉コレステロールを酸化させて超悪玉コレステロールとして動脈硬化を促進させたり、細胞膜や細胞内の遺伝子を傷つけるなどのはたらきがあることなども指摘されています。がん細胞の発現にも一役かっているといいます。さらに、アルツハイマー病の原因のひとつである脳の酸化にも、活性酸素が関わっていると考えられています。
活性酸素は体内でも生成されているが、大気汚染、ストレス、喫煙などによる影響も大きいことがわかってきました。特に喫煙が体内の活性酸素を増やし、がん発生を促進するという構図がほぼ確実になっているようです。