疾患・特集

貧血はどうして起こるの?女性に多い貧血は?

貧血の原因のほとんどが「鉄欠乏性貧血」ですが、ほかの病気が原因のケースもあります。深刻な病気が見つかることもあるので、「貧血かな?」と思ったら病院で検査を受けるようにしましょう。

いろいろな貧血

●鉄欠乏性貧血

赤血球のヘモグロビンはヘムとグロビンから成る複合タンパク体ですが、ヘムの成分の中に鉄が入っています。したがって、鉄が不足し、ヘモグロビンができず、赤血球が小さくなったり赤みが薄くなったりします。さらに赤血球の役割、酸素を体内に運ぶはたらきにも支障が生じてしまいます。

●ビタミンB12欠乏性貧血・葉酸欠乏性貧血

脊髄で赤血球が作られる際に必要なビタミンB12や葉酸が欠乏した結果、赤血球の生産が減少して起こる貧血です。白血球や血小板の数も少し減少します。巨赤芽球性貧血、悪性貧血とも言われます。

●再生不良性貧血

赤血球を作る骨髄そのものが障害を受けたり、赤芽球(赤血球のもと)に原因があって、赤血球が十分に作られなくなったために起こる貧血です。白血球や血小板の数も著しく減少します。

●溶血性貧血

赤血球の寿命は120日、その後は肝臓や脾臓で壊されます。この壊す力が強くて、赤血球の生産が追いつかずに起こります。

●続発性貧血

リウマチやがん、寄生虫、そのほか心臓や肺、腎臓、肝臓などに病気があり、それに伴って起こる貧血です。妊娠によって起こる貧血もこれに含まれます。

●失血性貧血

大ケガをしたり、手術をしたりしたとき、大量の出血によって一時的に赤血球を失う急性の場合と、胃潰瘍、痔、月経過多などで、長時間少しずつ出血する慢性の場合があります。女性に多い鉄欠乏性貧血の根本原因はこのケースが多いようです。

ヘモグロビンの重要な材料「鉄」

鉄は、赤血球のヘモグロビンを作る重要な材料となります。鉄が足りなくなると、赤血球が小さくなったり、赤みが薄くなったりし、鉄欠乏性貧血につながっていきます。
健康な成人の身体の中には総量5000mg程度の鉄があり、その半分が赤血球に含まれ、残りは主に肝臓や脾臓や骨髄に貯えられています。これらの鉄は、図のように、常に回転して再利用されています。
鉄は1日に約10mg摂取され、約1mg排泄されています。しかし、月経期の女性の場合、1回の月経期間に約30mgも失ってしまいます。したがって、女性は1日に男性の約2倍の鉄(約20mg)を摂らないといけないのです。

鉄のリサイクル

女性に多い「鉄欠乏性貧血」

赤血球を作るための鉄が足りなくなると、まず、肝臓や脾臓に貯えられた予備の貯蔵鉄が骨髄に運ばれるようになります。このように、肝臓や脾臓の貯蔵鉄が減っている状態を、潜在性鉄欠乏症といい、予備の貯蔵鉄がなくなった状態を鉄欠乏症といいます。
貯蔵鉄がなくなると、徐々に血液中の鉄も減少し、こうなって初めて赤血球のヘモグロビンに影響が出ます。だるい、疲れるなどの自覚症状はこのころから出始めます。
この状態を放っておき、ついに組織中にある鉄まで使ってしまうと、高度の鉄欠乏性貧血状態になり、爪がスプーンのように外に反り返ったり、食べ物が飲み込みにくくなるなどの症状が現われます。