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- 卵やイカを食べなければコレステロールはたまらない?
この答えはNO。コレステロールの摂り過ぎは健康の大敵と言われるようになって久しいですが、卵やイカなどコレステロールを多く含む食べ物を避けさえすれば大丈夫というわけではありません。コレステロールはどのようにして体内に取り込まれるのでしょうか?また、体内でどんなはたらきをしているのか見てみましょう。
卵やイカはコレステロールを多く含む食品ですが、そのすべてが体内に吸収されるわけではありません。また、成人の体が1日に必要とするコレステロールの量は1~1.5g程度ですが、そのうち食品から摂るのは20~30%です。残りは、人間の体内で合成されています。
体内には、卵やイカなどの食品から多くのコレステロールが摂取されたとき、体内で合成する量を減らす機能があります。しかし、これには個人差があります。また、高齢になるにしたがって低下することもあるため、コレステロールを多く含む食品を食べ過ぎないように注意することは大切です。
しかし、コレステロールは砂糖や脂肪からも合成されます。つまり、コレステロールを多く含む食品だけを食べないようにしても、砂糖や脂肪分の多い食生活を送っている限り、コレステロール過剰は治らないのです。
「いろいろな病気の原因になる」と、危険性ばかりが注目されていますが、コレステロールは細胞膜やホルモンの原料になる、体になくてはならない物質です。極端に避けるとかえって悪影響を及ぼすことにつながります。
人間の体がたくさんの細胞からできています(なんと約60兆)。そのひとつひとつが中味がもれないような袋に入っています。コレステロールはこの袋にあたる細胞膜や生体膜の材料になっています。
人間の体の機能を周りの環境に合わせて調節するはたらきをするホルモンです。コレステロールはこの材料のひとつでもあります。特に、いろいろな栄養素を体内で利用するときの助けになる副腎皮質ホルモンや男性ホルモン、女性ホルモンの材料として重要です。
食物中の脂肪やたんぱく質の消化、吸収に大きな役割を果たしているのが胆汁酸という消化液です。この胆汁酸もコレステロールを材料として作られています。ただし、胆汁に含まれるコレステロールの量が多すぎると、胆石を作ってしまい、胆汁の流れを悪くしたり、胆石症や胆のうがんの原因になることがあります。