疾患・特集

一寸先は闇、「高血糖」の恐怖

「血糖」とは血液中に含まれるブドウ糖のこと。心臓や脳の活動など生きていくために重要なエネルギー源です。しかし、血糖の量(血糖値)が増え過ぎる「高血糖」の状態になると、体のあちこちに支障がおきる原因になってしまいます。

高血糖を引き起こす生活習慣

高血糖を引き起こす生活習慣

朝の空腹時血糖値が126mg/dl以上だと糖尿病が考えられます。
しかし、このくらいでは自覚症状はないようです。
また、すべての生活習慣病の原因といわれる肥満ですが、見た目に太っていなくても油断は禁物です。痩せていても糖尿病ということもあります。

しかし、高血糖によって体の組織の変化や免疫力の低下が起こり、全身いたるところに障害が出てしまいます。つまり、真の恐怖は糖尿病が引き起こす病気(合併症)にあるのです。

糖尿病が引き起こす合併症「三大合併症」

糖尿病性神経障害

症状:下肢疼痛・下痢・便秘・しびれ・吐き気・胃もたれ・筋力低下・こむら返り・失禁・インポテンツ・ 立ちくらみ

熱い冷たいなどの知覚や運動をつかさどる「運動神経」や、臓器や器官の調節をつかさどる「自律神経」がおかされます。糖尿病の比較的早い段階から上のような症状が現われます。早期であれば回復もしやすいです。

糖尿病網膜症

症状:視力低下・網膜剥離・失明・白内障

眼の底にある網膜には細い血管が網の目のように走り、酸素や養分を運んで機能を保っています。高血糖になると、ここに血液が流れにくくなったり出血しやすくなり、最悪、失明してしまいます。成人になってから失明する原因の第1位です。網膜症とは別だが、目の水晶体が白くにごる白内障にかかる可能性も高くなります。

糖尿病性腎症

症状:腎不全、人工透析

腎臓内にも、目の網膜と同じように細い血管が集中する器官があります。糸球体といい、血液中のさまざまな成分をろ過して尿のもとをつくるのが仕事です。高血糖になると、ここの血管にも影響が出て、ろ過機能が衰えてしまいます。尿にタンパクが持続的に出て発見されることが多いようです。

そのほかの糖尿病が引き起こす合併症

糖尿病性昏睡

症状:急激に昏睡状態になり、そのまま死亡することも。

糖尿病改善のための治療を勝手にやめてしまったときに起こることが多いようです。

血管障害

症状:狭心症・心筋梗塞・脳梗塞など。

糖尿病のほかに高脂血症や高血圧の症状もある人が陥る可能性が高い病気です。命が助かったとしても、後遺症の心配があります。

足の壊疽(えそ)

症状:ちょっとした傷の化膿が進み、皮膚組織が腐ってしまう。そのままくずれて潰瘍になったり、骨まで腐ることもあります。

高血糖によって起こる足の神経障害と血管障害が原因です。神経がやられているので、痛みを感じず、発見が遅れてしまうこともあります。フットケアが大切です。

歯肉炎・歯槽膿漏

症状:歯ぐきからの出血、口臭から始まる。症状が進むと歯肉がやられ、歯が抜け落ちてしまいます。

血液の流れが悪くなり、雑菌がつきやすいのが原因です。歯みがきなどで予防できるので、糖尿病になってしまったら、歯のケアも綿密に行なうことが大切です。