とうがらしに含まれる辛味成分「カプサイシン」に、体内の中性脂肪を直接エネルギーになる脂肪酸に変化させる力があることがわかりました。そのため、カプサイシンを摂れば摂るほど燃やす「マイナスカロリー効果」があるようです。寝ていても痩せられるとも言われますが、果たして本当なのでしょうか?そのメカニズムを解説します。
脂肪が燃えるメカニズムを紹介する前に、体に貯まっている脂肪とは一体どんなものなのか簡単にまとめてみましょう。
脂肪は、体を動かすのに必要なエネルギーのひとつで、大きく脂肪酸と中性脂肪に分けられます。
中性脂肪は基本的に、血液中にある脂肪酸などが少なくなると分解され、新たな脂肪酸として活動のエネルギーになります。
このことからこれまで、やせるためには以下の2つの方法しかないと言われてきました。
ところが、カプサイシンに中性脂肪を脂肪酸に変えてしまうはたらきがあることが、京都大学の研究グループにより発表されました(1998年4月 日本栄養・食糧学会)。そのメカニズムをまとめると以下のようになります。
この実験はマウスによって行われたものですが、すぐに使えるエネルギー源となる「脂肪酸」が増えたせいか、マウスの持久運動能力も向上したそうです。つまり、とうがらしを食べた後に運動すれば、これまでよりも効率的にダイエットできるというわけです。
次に、「とうがらしマイナスカロリー説」を検証してみましょう。
とうがらしを食べると、体内で熱が生み出される効果があります。これは食後6時間くらい続くようです。体温も少し上がった状態(0.1度くらい)になり、そのぶん消費されるカロリーが増えることになり、これが「マイナスカロリー」ということになります。
では、具体的にどのくらいのカロリーが消費されるのでしょうか?食べた物の10~20%や、カプサイシン入りの健康ドリンクを飲んだら90分でマイナス10kcal(あめ玉約1個分)など、諸説あるようですが、まだきちんとした研究結果は出ていないのが現状です。
「マイとうがらし」を持ち歩き、何にでもかけている人もいるかもしれませんが、とうがらしをたくさん食べた方がやせるというわけでもないようです(もしそうなら、食べれば食べるほど熱が上がってフラフラになっているはず)。
「食べるだけで寝ていてもやせる」というのは本当のようですが、ほんのちょっとだけ、と考えたほうがいいでしょう。やっぱり運動は必要なのです。