ご存じの通り、コレステロールというのも脂肪の一種。中性脂肪と同じように、体に貯まりすぎると害になると言われているモノです。それでは、コレステロールと中性脂肪、どこが同じでどう違うのか、お互い何か関係あるのか、簡単にまとめてみましょう。
目次
人間の体内には下の表のように、4種類の脂肪が存在します。中性脂肪は3つの脂肪酸とグリセロールという物質が結びついたものです。つまり、脂肪酸はすぐに使えるエネルギー、中性脂肪は貯蔵用のエネルギーということになります。一方、同じ脂肪でもコレステロールは体内の細胞膜やホルモンの材料なのです。
脂肪酸![]() |
生きていくために、また、活動するために必要なエネルギーとして利用されます |
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中性脂肪![]() |
別名、トリグリセライド。脂肪細胞の中に貯えられています。必要に応じて脂肪酸になり、エネルギーとして使われます |
コレステロール![]() |
細胞膜の構成成分。ステロイドホルモンの材料、胆汁酸の材料にもなります |
リン脂質![]() |
細胞膜の構成成分。疎水性物質の親和性を保たせます |
コレステロールには善玉といわれるHDLと、悪玉といわれるLDLがあります。
LDLは食物から取り入れられたり肝臓で合成され、血液中を通って全身に運ばれて細胞膜やホルモンの合成に使われます。
ところが、血液中のLDLが増えすぎると血管壁の傷ついたところなどに付着し、結果的に血管を細くして、動脈硬化の原因になってしまいます。
一方、HDLは血管に付着したLDLを取り去って肝臓に運ぶはたらきをします。だから、体内に多ければ多いほどいいのですが、現代の日本人は逆パターンの人が多いようです。
コレステロールを増やす食品としては肉類が代表的。現代の肉中心の食生活で、LDLは増える一方のようです。
最近、血液中の中性脂肪が増えると、善玉であるHDLコレステロールを減らし、悪玉コレステロール(LDL)が増えてしまうことがわかってきました。つまり、中性脂肪の増加によって動脈硬化を促進させてしまう可能性があります。
これが「脂質異常症(高脂血症)」といわれる病気。血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールが基準値を超えてしまった状態のことです。
高脂血症には中性脂肪値が高い「高トリグリセライド症」とコレステロール値が高い「高コレステロール症」があります。いずれも、この時点では自覚症状はほとんどなく、動脈硬化が起こって初めてわかるケースも多いようです。