疾患・特集

炭水化物やアルコールはどのようにして体内で中性脂肪に変身するのか

「中性脂肪を減らすためには、脂っぽい食べ物を控えればいい?」
実は、体内で中性脂肪に変わるのは、油脂類や脂肪を多く含む食べ物ということではなく、「エネルギー源」を含む食べ物が中性脂肪に変わります。では「エネルギー源」は中性脂肪に変わるのでしょうか?

体内に中性脂肪がたまるメカニズム

「中性脂肪を減らすためには、からあげとかドレッシングなどを控えればいいのかしら?」

これは、半分マル、半分バツ。体内で中性脂肪に変わるのは、油脂類や脂肪を多く含む食べ物だけではありません。我々の食物は、こんにゃくなどノンカロリーといわれるもの以外はすべて「エネルギー源」を含んでいます。中性脂肪に変わるのは、この「エネルギー源」です。

事務職の男性(30代)が1日の活動に必要とするエネルギーは2,200kcal 程度、女性(30代)1,800kcal 程度と言われますが、それ以上に食べてしまった分のエネルギーが中性脂肪として体内に貯えられてしまいます。特に注意しなくてはいけないのが、炭水化物(糖分)、脂肪、アルコールなどエネルギーを多く含む食物。これらが体内でどのように中性脂肪に変わるのか、簡単にまとめてみましょう。

からあげに使われた油

口に入った食べ物は からあげに使われた油 からあげに使われた油
サラダ油大さじ3 360kcal
※実際はもっと多く使います
小腸などから吸収される 脂肪酸とグリセロールに分解して吸収
血液を通ってエネルギー源として使われる 脂肪酸はすぐに使えるエネルギー。アルブミンというたんぱく質と一緒になって血液中を運ばれます。心臓など重要な器官を動かすエネルギー源です。
余った分は… 血液中を全身にある脂肪細胞に運ばれ、細胞の中に貯えられます。

あんまんに含まれる糖分

口に入った食べ物は あんまん あんまんに含まれる糖分
1個 約240kcal
小腸などから吸収される ブドウ糖に分解、吸収
血液を通ってエネルギー源として使われる ブドウ糖(血糖ともいう)は血液によって体中に運ばれ、脳などで活動を行うためのエネルギーとして使われます。
余った分は… 血液中のブドウ糖濃度(血糖値)があがると、「インスリン」という酵素がはたらいて、ブドウ糖を中性脂肪に変えます。中性脂肪は脂肪細胞に貯えられます。

ビールに含まれるアルコール

口に入った食べ物は ビール ビールに含まれるアルコール
大ビン1本 約250kcal
小腸などから吸収される アルコールのまま吸収
血液を通ってエネルギー源として使われる アルコールは肝臓で分解され、最終的には水と二酸化炭素になって排出されます。お酒は結構カロリーが高いのですが、エネルギーとなるのはアルコール以外の成分です。
余った分は… アルコール自体は中性脂肪に変わるわけではありません。しかし、アルコールが分解される際に、脂肪の合成を進める酵素を発生させてしまいます。このため、肝臓で中性脂肪の合成が進んでしまいます。そして、肝臓の中にある脂肪細胞に貯えられていきます。