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中性脂肪は実は人間が生きるための仕組みだった。しかし現代ではぶよぶよ腹の原因に!

中性脂肪とは一体何のことなのか、体の中でどのような役割をしているのか、そして、中性脂肪がたまりすぎるとどうなるのかについて簡単にまとめてみました。

必要以上に食べた分は中性脂肪に変身する

約90kcalの余分な食べ物

小学校の理科の時間に習ったこと、皆さん覚えていますか。

「人間の体に吸収された炭水化物や脂肪は、人間がいろいろな活動をするときのエネルギー源となります。そして、余ったエネルギー源は脂肪として体内に貯えられます」

中性脂肪とは、この「脂肪」のこと。つまり、日々余分にとってしまった炭水化物や糖分、脂肪分は中性脂肪になって、どんどん体にためられています。

生き延びていくために不可欠な中性脂肪

中性脂肪には以下のような役割があります。人間が生きていくためにとっても大切なはたらきですが、「はたらきだった」というべきかもしれません。人類の進化の過程においては、飢餓や寒さに耐え忍んだりしなくではいけないシーンが多く、余分なエネルギーを貯めこむというはたらきは、そういった時代を生き抜くためのシステムでした。

1.食物が足りないときのエネルギー源

人体の活動に必要なエネルギー源が、食事などを通して供給されないときのエネルギーとなります。エネルギー不足になると、中性脂肪は遊離脂肪酸という物質に分解されて血液中に放出され、全身に運ばれて体内各部分の細胞が正常に活動するためのエネルギー源になります。

2.体温を保つ機能

アザラシやオットセイなどは、体の分厚い皮の下に皮下脂肪をいっぱい貯えています。その脂肪のおかげで、冷たい氷の海でも体温を保てます。人間の中性脂肪にも同じようなはたらきがあります。「人間は服を着るから大丈夫」ということはありません。体内の中性脂肪の量が極端に減れば、体温の調節などに障害が出てきます。

3.外からの衝撃を吸収する

多少何かにぶつかっても、「痛い」だけで済むのは中性脂肪のおかげ。内臓など体内の重要な器官を衝撃から守るはたらきもしています。

たまり過ぎの中性脂肪は命を縮める火薬庫

肥満は生活習慣病を引き起こす

人間が生きていくのに必要不可欠な中性脂肪。しかし、飽食&運動不足の時代、多くの人にとって、たまりすぎた中性脂肪は命を縮める火薬庫になりかねません。「中性脂肪のたまり過ぎ=肥満」は、生活習慣病の原因になります。