疾患・特集

3つの主な心の病

ひとの心や生活、生い立ちがさまざまであるのと同様、「心の病」の在り方も、決して一様ではありません。そのなかでも共通点を見つけ分類すると、「心の病」には、神経症・双極性障害・統合失調症の代表的な3つがあります。

神経症

頭痛など体の異常、不安・抑うつなど精神の異常を訴えますが、身体医学的な検査では異常が認められず、心が原因で発現すると考えられるものです。
似たものに「心身症」があります。こちらは原因が心にあることは同じですが、実際に体の疾患が現われるところが違います。ノイローゼ、パニック障害、自律神経失調、ヒステリーなども神経症のひとつ。治療法としては薬物療法、精神療法、認知行動療法などが挙げられます。

双極性障害

双極性障害は、気分が高揚し、活動が増える「躁状態」と、落ち込んで、やる気が失せてしまう「うつ状態」という対極にある状態が繰り返し現れる(気分の波)精神疾患です。うつ病が、うつ状態のみがみられる「単極性」であるのに対して、うつ状態と躁状態の両方があることから「双極性」と名付けられました。かつては「躁うつ病」と呼ばれていた病気です。 双極性障害に特徴付けられる躁状態では、普段とは人が変わったように「気分が昂ぶる」「おしゃべり」「やたらと社交的になる」「眠らないでも平気で動き回る」といった気分・行動の変化が認められ、それが昂じると仕事や人間関係に支障をきたしてしまうこともあります。
双極性障害は治療が難しく、長引きやすい病気と言われています。治療は家族の協力の下、正しい治療を継続することが大切です。

統合失調症

統合失調症になると、見えないはずのものが見える幻覚、聞こえないはずの音や声が聞こえる幻聴、現実にはありえない妄想にとらわれたり、身なりを気にしなくなるほど意欲が減退するなど、さまざまな症状があらわれます。なぜこの病気を発症するのかについてはまだ解明されていない部分も多いですが、これまでの研究で、脳の中にある神経伝達物質であるドーパミンという物質の異常が関係しているのではないかと考えられています。
以前は「精神分裂病」という病名で呼ばれていたが、その病名がどことなく危険で異質なイメージを持たれがちなため、「統合失調症」という病名にあらためられました。

公開日:1999年3月27日