疾患・特集

1gで1万人が!?ダイオキシンは超猛毒物質

ベトナム戦争で使用された枯葉剤にも使用されたダイオキシンですが、その致死量は非常に高く、1gのダイオキシンは体重50kgの人を1万人殺す力があると言われています。

ベトナム戦争でも使われていたダイオキシン

ベトナム戦争時、アメリカ軍がジャングルの木々を枯らすために枯葉剤を上空から散布したいわゆる「枯葉作戦」。この枯葉剤の中に含まれていたのがダイオキシンです。

「枯葉作戦」という言葉、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
ベトナム戦争時、アメリカ軍はジャングルの木々を枯らすため、ハービサイドオレンジという枯葉剤を上空から散布しました。
しかし、アメリカ軍の兵士のなかから健康異常を訴える者が続出し、この枯葉剤の使用は中止になりました。しかも、ベトナム戦争後、散布の多かった地域で先天性奇形児の出生率が増えるなどの問題が起こりました。

実は、この枯葉剤の中に含まれていたのがダイオキシンです。正確には2,3,7,8-四塩化ダイオキシン(2,3,7,8-TCDD)という物質。
アメリカでもベトナム帰還兵の健康障害やその子どもたちの奇形の発生などが問題になり、これを機にダイオキシンに関する研究が精力的に行われるようになりました。

1gで1万人が死ぬ!?

ダイオキシンの毒性は非常に強く、例えば2,3,7,8-四塩化ダイオキシンの場合、モルモットの半数致死量は「0.6~2.0μg/kg」と言われています。
ちなみにμg(マイクログラム)というのは100万分の1グラムのことです。体重1kgあたり0.6~2.0μgの量で、実験したモルモットの半数以上が死んでしまうのです(モルモットは体重1kgもないので、1匹あたりの致死量はもっと少量です)。
人間の致死量もモルモットと同じ(2.0μg)だと考えると、1gのダイオキシンは体重50kgの人を1万人殺す力があることになります。

ただし、この致死量は動物によって随分差があるようです。同じような種類の動物でも致死量が何千倍も違います
どうしてこのような差があるのかはまだはっきりしていません。
従って、実際のところ人間の致死量がどのくらいか、正確な数値もわからないのが現状です。

2、3、7、8四塩化ダイオキシンによる半致死量の比較

  • モルモット…0.6~2.0μg
  • マウス…130~280μg
  • ラット…40~60μg
  • ウサギ…115μg
  • ハムスター…5000μg
  • サル…50~70μg

じわじわと体をむしばむダイオキシン

ダイオキシンは、青酸カリなどのように飲んですぐ死ぬというものではありません。
死ぬまでに長い時間がかかり、その時間も動物によって異なるのが特徴です。 モルモットで5~42日、マウスで15~24日という具合いになります。
さらに恐ろしいのが、ダイオキシンの慢性毒性です。致死量よりずっと低い濃度のダイオキシンでも、長期間摂取することによって慢性的な症状が現われてきます

日本は、他国に比べダイオキシンの汚染度が極めて高いようです。しかし、人体に即影響を与えるほどの濃度ではありません。 従って、現在問題になっているのはダイオキシンの慢性毒性の方となります。

では、ダイオキシンによる慢性な症状とはどのようなものなのでしょうか。
詳しくは、不妊症、精子減少の原因はダイオキシン!?をご覧ください。