転んだだけで骨折してしまう子供や、骨粗しょう症の患者が増えています。カルシウム不足がひとつの大きな原因のようです。実際、国民栄養調査でも、カルシウムは日本人に唯一不足している栄養素となっています。どうすればよいのでしょうか。
成人の1日あたりのカルシウム所要量は、600mgです。しかし、実際には、日本人の約70%の人はこれだけの量を摂取できていないといわれます。カルシウム摂取率は、先進国の中でも最下位です。
昔は、日本人の食事といえば、カルシウムたっぷりの小魚や野菜中心のバランスのとれたメニューでした。しかし昭和30年代頃を境に日本人の食生活は大きく変わり、肉料理や加工食品(特にインスタント食品)中心になってきました。また、そもそも日本の土壌にはカルシウムが少ないために、野菜や水などに含まれるカルシウムも少ないようです。こうしたことも、今日の日本人のカルシウム不足の大きな原因でしょう。
ご存知の通り、カルシウムは骨や歯をつくる大事な原料となります。しかしそれだけではありません。筋肉の伸び縮みをコントロールする、刺激に対する神経の感受性を鎮める、アレルギーなどの過剰な反応を抑える、というように、体のあちこちでいろいろなはたらきをしているのです。
カルシウム不足は、骨や歯がもろくなるだけでなく、いろいろな症状を引き起こします。イライラ怒りっぽくなるのもそのひとつです。
主な症状は次のとおりです。
では、たくさん摂れば摂るほどいいのかというと、そういうわけでもありません。
例えばダイエット中にカルシウムを補助食品で補うなど、ほかの栄養素に比べてカルシウムを摂りすぎた場合、ミネラルバランスが崩れて貧血になりやすくなります。また尿中にカルシウムが多量に排泄されることで、尿路結石になることもあります。
目安は1日600mgで(成人の場合)、これは牛乳600mlに相当します。上のような過剰症がでやすくなるのは2000mgといわれていますが、それ以下でも補助食品で摂る場合はミネラルバランスが崩れやすいので注意が必要です。
それでもカルシウム不足が心配であれば、カルシウム剤を利用するとよいでしょう。食品よりも効率よくカルシウムが摂れます。ただし、手軽に飲める分、取りすぎには注意しましょう。