何となくイライラする、夜眠れない、食が進まない、体がだるい、肌が荒れる…。「病院に行くほどじゃないけど、ちょっと調子が悪い」ということはありませんか?もしそうであれば、あなたも「潜在性ビタミン欠乏症」かもしれません。
ビタミン欠乏症といえば、「くる病」「脚気」「夜盲症」などが有名です。しかしそこまでいかなくても、「不足気味」といった、病気と健康の中間にいる人はかなりいるといわれています。
上のようなだるい、眠れないなどの症状を訴える人のうち、3人に1人がこの潜在性ビタミン欠乏症だともいわれています。しかも、たいていは自分でそのことに気づいていません。
厚生労働省の国民栄養調査によれば、日本人はカルシウムと鉄以外の栄養素は必要な量をだいたい摂れているようです。しかし、これはあくまでも平均値。またこの調査は食品を調理するときに失われるビタミンの量は計算に入っていません(ビタミンは壊れやすく、例えばブロッコリーのビタミンCはゆでると3分の1以下になるといいます)。また温室栽培や養殖のものはビタミンが減少しがちですし、吸収率も人によって差が出ます。思うほどビタミンは摂取できていないものです。
自分だけは大丈夫と思わず、足りないかなと思ったらビタミンを補給してみましょう。
欠乏症にならないためには、一体どれくらいのビタミンを摂ればよいのでしょうか。
下の表の数字がその目安となります。参考までに食品に含まれるビタミンの量も書き添えましたが、これは基本的にそのまま生で食べた場合の数字です。ビタミンは非常にデリケートなため、水に溶けやすい、空気に触れると酸化しやすい、光で分解されやすいなど、調理の過程でかなりの量が失われてしまいます。とくに熱にはとても弱いです。
したがって、この2~3倍の量を目安に、積極的にビタミンを摂るようにしたほうがよいでしょう。
ビタミンは野菜や果物だけではなく、肉や魚介類、乳製品にもたくさん含まれています。「何が何でも野菜」というわけではなく、苦手な人はそれ以外のもので摂ればよいでしょう。無理せずできる範囲で献立を考えるのが、長続きのコツです。
ビタミンの種類 | 所要量 | 多く含まれる食品 | 食品で摂るときの目安 |
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ビタミンA | 600μg | レバー、うなぎ(きも)、にんじん、バター、緑黄色野菜 | うなぎ蒲焼き1/2串(40g) 600μg、にんじん中1/4本(50g) 630μg |
ビタミンB1 | 1.1mg | 玄米、強化米、豚肉、ごま、大豆、 落花生、そば | 豚ひれ肉(100g) 1.22mg、玄米カップ1杯(150g) 0.62mg |
ビタミンB2 | 1.2mg | うなぎ、レバー、干ししいたけ、脱脂粉乳、 牛乳、卵 | 鶏レバー2串(60g) 1.08mg、牛乳コップ2杯(400ml) 0.64mg |
ビタミンB6 | 1.6mg | 魚類、牛・豚肉、穀類、豆類、レバー、 牛乳、卵 | 焼きいも中2本(500g) 1.49mg、きはだまぐろ刺身10切れ(100g) 0.64mg |
ナイアシン | 16~17mg | レバー、肉類、魚類、豆類、緑黄色野菜 | まかじき1切れ(120g) 16.2mg、エリンギ1パック(90g) 6.72mg |
パントテン酸 | 5mg | 魚類、きのこ、豆類、野菜 | ひきわり納豆1パック(100g) 4.28mg、銀鮭1切れ(100g) 1.37mg |
ビオチン | 30μg | レバー、卵黄、緑黄色野菜、果物 | |
葉酸 | 200μg | レバー、牛・豚肉、卵黄、豆類、ほうれん草 | ほうれんそう1/3束(100g) 189μg、牛レバー(20g) 200μg |
ビタミンB12 | 2.4μg | レバー、貝(カキ)、ニシン、いわし、さば、牛・豚・鶏肉、卵 | あさり1個 2.1μg、まいわし1尾(100g) 4.75μg |
ビタミンC | 100mg | みかん、グレープフルーツ、緑黄色野菜、いちご | ブロッコリー1/3株 100mg、キウイフルーツ1個(100g) 59mg |
ビタミンD | 2.5μg | 卵、まぐろ、レバー、いわし、かつお、さつまあげ、シラス干し、きのこ | 干ししいたけ3個(12g) 1.63μg、初がつお刺し身2~3切れ(50g) 2μg |
ビタミンE | 10mg | 植物油、小麦胚芽、パン、緑黄色野菜 | まぐろ油漬け缶詰ホワイト小1缶(80g) 7.3mg、アーモンド10粒(フライ:15g) 4.4mg |
ビタミンK | 55~65μg | 緑黄色野菜、海藻類、レバー、豆類 | 干しのり1/2枚(2g) 52μg、ニラ1/3束(30g) 51.3μg |
出典:五訂日本食品標準成分表 ※廃棄分を考慮