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温泉効果、生かすも殺すも入り方

いつも何気なく入ってしまう温泉、実は入り方を間違えるとリラックスするどころか体調をくずすこともあります。温泉効果を生かす入り方を知っておきましょう。

温泉入浴の作法~こんな時には入らない!

せっかく来た温泉。どうせなら、その効果が生かされる入り方をしないと、もったいないですよね。逆に湯当たりしたり、気分が悪くなったりするのも、残念です。温泉天国・日本に住む者として、温泉入浴の作法を学びましょう。

その前にまず、「こんな時だけは入るのをやめておこう!」という条件を確認しておきましょう。

飲酒後に注意!

お酒温泉につかりながらの雪見酒。
風流ではあるけれど、実はとても危険です。アルコールも温泉も血行を良くし、血圧は低下、心拍数は増加し、体に負担がかかりすぎてしまいます
脳貧血や心臓発作を起こす例も少なくありません。絶対にやめましょう。

スポーツの直後に注意!

ランニングや登山、スキーなどのスポーツで汗をかいた後、すぐにもサッパリしたいところですが、運動直後には、血液によって筋肉に重点的に酸素を供給し、疲労をとることが必要になります。
温泉に入ると血行がよくなり、体表面に血液が大量に流れ、ほかの臓器や筋肉への血流量は減少してしまいます。
筋肉の疲れがそのまま残ってしまうのです。

風邪気味に注意!

忙しいスケジュールをぬって、せっかくの温泉。
少しぐらいの風邪なら入浴してサッパリした方が治りそうな気もしてしまいますが、かえって炎症が進み、悪化します。
キッパリとあきらめ「お湯」のかわりに、周囲の「自然」につかって帰りましょう。

温泉はどう入るのが正しい?

下の質問は○?×?

Q. しっかり温まるなら、肩までつかったほうがいい。

子供の頃「肩までちゃんとつかりなさい」と家族に言われた人も多いかもしれません。しかし、家庭のお風呂でも温泉でも、全身浴は水圧が心臓や肺に負担をかけます。また、首までどっぷりつかると血液粘度が上昇し、悪ければ血栓ができる危険もあります。下半身浴でも、お湯につかった部分から温められた血液が全身にめぐるので、体の芯まで温まることができます。

というわけで、正解は「×」

Q. 宿についたらまず、お風呂。温泉は食事の前に入るのが正しい

入浴によって体のすみずみまで血液がめぐり、その分、心臓と腎臓をのぞく内臓への血流量は減少します。食後に入浴すると胃や腸の消化・吸収能力が低下するので、食前の入浴がおすすめです。食後に入る場合は1時間半ほどゆっくり休んでからの方がいいでしょう。

というわけで、正解は「○」

Q. 日本人が好きなお風呂の温度は42度。当然温泉もそのぐらいの温度がいい。

42度の熱いお湯が好きな日本人。草津温泉など、あえて熱い湯で療養する方法もあるが、一般に熱い湯は体への刺激が強すぎます。交感神経の緊張でリラックスできません。40度程度のぬるめの湯が心地よさを誘うのです。

というわけで、正解は「×」

Q. せっかく来た温泉だけど、のぼせても困るから何回も入ることはない。

温泉に行くと、しゃにむに何回も入る人がいますが、入浴は1日に1~2回が最適です。また、1回に長時間つかるよりも、1回約5分、途中3分以上の休憩を入れて2~3回の分割入浴をした方が血液循環の促進効果がアップします。

というわけで、正解は「○」

Q. 汗をかいてやせるチャンス!湯上がりは水も口にしない。

温泉は、汗が出たり、深呼吸でのどが渇いたり、老廃物を体の外に出すはたらきの高い利尿効果があったりと、強い水分喪失を起こします。十分、水分を摂りましょう。「風呂あがりは、どうしてもビール!」という方、アルコールは利尿作用により水分喪失を起こします。ビールの後には、より多くの水分補給を忘れないでください。

というわけで、正解は「×」

Q. 温泉とくれば、タオルをのせて入浴するのが通!

「のぼせ」の防止法として、ぬらしたタオルを頭にのせるのは効果的です。ほかに、入浴前のかけ湯で前頭部に十数杯のかぶり湯をするのも有効です。

というわけで、正解は「○」