疾患・特集

ツボを刺激すると、体に効くのはなぜ?

ツボ治療でよく知られているのが「押す(指圧)、針で刺激する(鍼治療)、火を近づける(お灸)」の3つです。体の表面にあるツボを刺激するだけで、どうして内臓の病気まで治るのでしょうか?今回は、ツボの基本、ツボが効く仕組みについてご紹介します。

ツボ療法が自己治癒力を目覚めさせる

人間の体には、自分の体を自然に治す機能、自己治癒力が備わっています。
そして、体の各所にある、このようなはたらきを高めるポイントをまとめあげたのが、中国4000年の歴史が産んだツボ療法です。
大学病院などでも、ツボ療法の効果が注目され始め、「ツボはなぜ効くのか」を科学的に解明しようとする研究が盛んに行われるようになりました。

手のツボと、肛門をつなぐもの

手の甲にある「合谷」(ごうこく)というツボを、反対の手の親指で、ギュッと押さえてみてください。
下腹部から肛門のあたりがウズウズしてきませんか?これは便秘などに効くツボなのです。それにしても、手のツボの刺激が遠い肛門に伝わるのはなぜでしょうか?

合谷の見つけ方

合谷

手の甲を上にして指を開きます。そのまま指をぐっとそらせ、親指と人差し指の付け根の骨と骨とが接する部分をさぐって、押さえたときに痛みを感じるくぼみがツボです。

ツボ療法を集大成した東洋医学のバックボーンは、「気血」という健康を保ち続けるためのエネルギーです。
これは、体のさまざまな機能をつかさどる「五臓六腑」を中心に、体じゅうのあらゆる場所を流れていると考えられています。
この流れの道筋を「経絡」(けいらく)といい、経絡のところどころに「エネルギーの流れがつまりやすいところ=ツボ」があるというのです。
このために、「ツボを刺激して気血の流れを調整すれば、その経絡につながる機能が回復する」のです。そうだとすれば、ポイントと患部との距離は関係ありません。1ヵ所がつまって全体の流れが悪くなれば、経絡に通じる機能全体が悪くなってしまうからです。

ツボ・ネットワークは自律神経でつながっている?

ところで、「気血」「五臓六腑」というと、「指先の血管がつまって、内臓に血液がまわらない…?」などと考えがちだが、これは大きな誤解となります。今まで説明したものは、すべて目に見えないものです。気功などで言う「気」と同じようなものなのです。そこで、現代医学の観点からツボのメカニズムを解明しようと、さまざまな説が唱えられています。
たとえば、「ツボは自律神経を通して患部を刺激する」という考え方です。この説によれば、ツボが効くメカニズムは次の通りとなります。

  • 「手足のツボの刺激が、その部分の神経を興奮させる
  • その情報が脊髄を通って脳に伝わる
  • 脳に行った情報が、胃腸管を支配する副交感神経を刺激
  • その情報が胃腸管に降りてくる
  • 胃腸管の動きが活発になり、便秘が解消される

自律神経って?

「自律神経」とは、呼吸、血圧、体温、心拍など、体の恒常性を維持するための信号を伝える「神経伝達ライン」のことです。つまり、人間の健康状態のバランスを調整するための情報を体に伝えています。自律神経には、主に活動時や緊張時にはたらき、消化器官の動きを抑制する「交感神経」、主に睡眠時や休息時にはたらき、消化器官の動きを促進する「副交感神経」の2種類があります。