疾患・特集

リンゴの渋味が、がんを防ぐ?

熟していないリンゴ(未熟果リンゴ)は、味が渋いのでこれまでは捨てられるだけでした。 リンゴの渋味には害虫を寄せ付けないはたらきがあることは分かっていましたが、渋味がネックになり、なかなか商品化されていなかったのです。
しかし、数年前に、未熟果リンゴの渋味には、お茶のポリフェノールと同じ成分が含まれていることが明らかになり、有効利用が進んできています。

がん予防のほか、虫歯予防や美白効果も

ポリフェノールは、がんを予防すると注目されていますが、それ以外にも、虫歯予防、アトピー性皮膚炎のかゆみの抑制、肌を白くするという効果などがあります。これをいち早く商品化したのが、洋酒メーカーのニッカウヰスキーでした。
当初ニッカでは、発泡酒「シードル」をきれいなバラ色に染めるのに未熟果リンゴの渋味を使っていました。その後、渋味の中にポリフェノールとほぼ同じ成分が含まれていることが分かり、本格的に製造を開始しました。

菓子や化粧品にまで広がる

未熟果リンゴのポリフェノールは、お茶や赤ワインと違って苦みが少なく、水に溶けやすいのが特長です。最近では水に溶けやすい性質を生かして、粉末や液体の形で次々と食品メーカーを中心に商品化が進んでいます。
最も多いのが、虫歯の予防効果を狙ったガムやあめなどの菓子類です。今ではかなりの数の商品が出回っています。
広がりを見せる未熟果リンゴの再利用に対して、青森県の弘前市周辺のリンゴ農家から1500tのリンゴが集められるという動きもあります。
ただし、ポリフェノール成分濃度が高いのはピンポン玉程度の大きさのものに限るということです。