ペットは欠かせない大切な存在という方も多いでしょう。しかし、過度なスキンシップで、ペットから寄生虫がうつってしまうことも…。ペットとの付き合い方を知っておきましょう。
飼っている動物から人に感染する病気があることをご存じですか?
人畜共通感染症といって、人とせきつい動物の間を寄生体(病原微生物や寄生虫)が移動することによって起こる感染症です。
家屋内でさまざまな動物が人間と同居するようになり、ペットを介してうつるこの人畜共通感染症が増えています。
主な人畜共通感染症は以下のとおりです。
病名 | 感染経路 | 症状 | 注意点 |
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犬回虫症 | 子犬のふんがに含まれている虫卵を、人間が飲みこんでしまうと感染 | せき、発熱、白血球増加、肝臓が腫れるなど | 幼犬は100%近く犬回虫に感染しているので、子犬を飼うときには必ず駆虫。 その後も定期的に検査を行うこと。子供が遊ぶ砂場も、犬のふんが混ざっている危険があるので注意を |
犬糸状虫症 | 糸状虫を含む犬の血を吸った蚊が人を刺すことで感染 | 大部分は肺に寄生する | 胸部X線撮影をすると、円形の影となって見えるため、肺がんと誤診されることも |
エキノコックス症 (包虫症) |
オオカミ、キツネ、犬のふんに含まれる包虫卵を、草や水などと一緒に飲み込んでしまうことで感染 | 肝臓に定着することが多いが、肺、脳、骨などに病変が見られることも。寄生している臓器の圧迫、肝臓の腫れが見られる | 北海道に広く分布しており、キツネや犬の感染が進んでいるので、これらの動物のふんで汚染された土地の水や草には注意。飼い犬には、定期的に検便を |
トキソプラズマ症 | 猫のふんから経口感染する。このほか、豚や羊の生肉から摂取して感染することもある | ふつうは無症状。ただし、抵抗力が弱っていると、リンパ節炎、肺炎、肝障害などが起こることがある | 抗体を持たない妊婦が感染した場合、胎児にも感染して水頭症※になる危険がある |
オウム病 | クラミジア・プシッタシーとよばれる病原体が、オウム、ハトなどに寄生して分裂・増殖。 感染・発病した鳥の排泄物などから人が吸収することによって発症 |
風邪と同じ症状、激しいせき、重症の場合には呼吸困難も起きる 心筋炎、心内・外膜炎、髄膜炎を起こすことも |
オウム病は、通常鳥から人へ感染するが、最近、人から人へ感染する事例も見つかった。家族がオウム病と診断されたら、全員が検査を受けること |
※水頭症
髄液が脳の中心部にたまり、生後1~2ヵ月から頭囲が大きくなってくる病気。
放置しておくと、脳の実質が圧迫され、発育・発達が妨げられます。
手足の麻痺やけいれん、知能障害もおこります。
感染予防のためにはペットの健康管理はもちろん、正しい知識と予防法を知ったうえでペットを飼うことが必要です。口移しにエサをやる、イヌやネコになめられるなどといった行為は、感染の危険を大きくします。