疾患・特集

胃病の主犯として注目されるピロリ菌

1983年に発見されたピロリ菌

慢性胃炎などの胃の病気は、ストレスや暴飲暴食、その外ライフスタイルが原因といわれます。しかし近年、その定説が覆されようとしています。これらの病気は、胃内に存在する細菌ヘリコバクター・ピロリの仕業ではないかといわれているのです。
1983年にヒト胃粘膜からこの菌が初めて分離培養され、胃疾患との関連で世界中から注目されました。ピロリというのは、最初の発見場所である胃幽門のことです。

胃がんの原因の一つもピロリ菌

さらに興味深いことに、国際がん研究機関(IARC)は、胃がんの原因の一つがピロリ菌であるという結論を出しました。日本を含む13カ国の疫学調査で、ピロリ菌の感染者は胃がんになる確率が6倍高かったという結果が出たのです。
日本人のピロリ菌の感染率は、50代では70%前後と高率です。ピロリ菌感染に対する予防・治療が、胃がん発生の抑制につながると考えられています。現在、胃かいようや胃炎に対するピロリの除菌治療が行われ、再発予防効果が注目されています。