疾患・特集

介護保険

利用者本位の仕組みづくり

寝たきりや痴ほうの高齢者が急速に増え、介護の長期化や介護者の高齢化が進む一方、高齢世帯の増加や女性の社会進出により、家庭の介護機能は低下しつつあります。

また、老人介護に関する現行の制度では、老人福祉と老人医療が分立しており、

  1. 総合的なサービスが受けられない
  2. 利用者が自由にサービスの選択を行えない
  3. 医療サービスが非効率に利用されている

といった現状にあります。
そのため国では「介護保険制度」を創設しました。この制度のもと現在の老人福祉と老人医療の制度を再編成し「利用者本位の仕組み」が作られようとしています。

環境の整備の遅れの外、制度の矛盾点も多い

「介護保険制度」は、2000年から在宅に関する給付と施設に関する給付が同時に実施されており、被保険者は40歳以上とされています。
要介護状態もしくは要介護状態になる恐れがある被保険者に対して保険給付が行われる場合は、まず、その人がどの程度の要介護状態にあるのか、どれくらいの介護が必要なのかを確認するための要介護認定(心身の状況調査やかかりつけ医の意見をもとに市町村の介護認定審査会が判断)が行われます。
そして、保険給付の内容に基づいてケアマネジャーと呼ばれる専門家が介護サービス計画を策定して、利用者のサービス選択と利用を支援する仕組みになっています。
2000年に向かって関係者の間では急ピッチで準備が進められていますが、その一方で施設および在宅サービスの未整備やマンパワーの不足、制度自体の矛盾点などが指摘されており、介護保険の施行について危ぶむ声も多く上がっています。