疾患・特集

かかりつけ医を選ぶ

よき医者とは

「よき医者とは、特効のある薬と治療法を有している者をいう。それがない場合には、持っている医者に自分の患者を依頼する者をいう」。これは、17世紀フランスの代表的モラリスト、ラ・ブリュイエールの言葉です。
現代のかかりつけ医療が担っているプライマリ・ケアでも、重要な機能の一つは、二次医療が必要なときに、時期を逃さずに、適切な専門医へとバトンタッチすることだ、とされています。医学技術がどんなに進歩しても、医療の基本は不変なのです。

基本は予後の予測能力に

病気に対し「特効のある薬と治療法」が登場したのは19世紀以後ですから、17世紀の医者ができたことは、現在でいう民間療法のような治療と、「医師が侍り、神が治したまう」という言葉の通り、病人に付き添って慰め、元気づけることぐらいだったでしょう。
そんな医師が敬われたカギは、予後を見通す能力にありました。
患者の将来の状態を予測し、どんな状態が起きたらどのように対処するかをあらかじめ伝えておくことが、治療による直接的な効果と同様、ないしはそれ以上に患者に安心を与えてくれます。それは現在でも全く同じです。

持病に精通、相性も大事

わが国の診療所の開業医は、病院に勤務していた時期に循環器病とか糖尿病とかの専門領域を持っていた方が少なくありません。これはわが国の特徴であり、また、保険証があれば、どの診療所にもいつでも自由にかかれるという点も、わが国の保険医療制度の大きなメリットですから、メリットは十分に生かしたいものです。
友だちづくりと同様に時間をかけて、自分の持病に精通した相性のいいかかりつけ医を選ぶことが、丈夫で長生きの秘訣です。