疾患・特集

日本人の医療への満足度

「様子をみましょう」は保険医療の悪弊

日本人の医療に対する満足度は12%で、世界の先進国で最低だ、という調査結果 (Harvard Community Health Plan,1990) がありますが、患者の不満で上位にランクされるのが、医師の「様子をみましょう」というあいまいな言葉です。

通常、患者が症状を訴えているが、診察し検査のデータをみても、これという異常は見つからないとか、可能性は幾つか考えられるが決め手がない場合に、「様子をみる」ことになります。
これは「いますぐに急変する心配はない」というニュアンスをこめた、医師の側では便利な表現ですが、こんなあいまいな応対が許されるのは、医療費患者負担が少ないわが国だけのようです。
自分の懐から診療費を支払う国では、患者は納得しません。
「自分でどこか具合が悪いと感じているのに、治療できる病気を持たない患者の扱いには、大変な精神的エネルギーを消耗する。それは、自分の診察は完璧であり、あらゆる可能性を考慮したことを、患者に納得させなければならないからだ」と、米国ハーバード大学のプライマリ・ケア専門医、M.K.リー医師が言っています。

「自信が持てない」の言い換えのことも

「様子をみましょう」を言葉通りに受け取っていいケースばかりとは限らない、と指摘する医師もいます。
たいした病気ではないだろうが、自分では自信が持てない、という気持ちのこもった言葉と受け取れないこともありません。もし、そうであれば、かかりつけ医を替える潮時と考えるのが賢明です。
どちらなのか確かめるための一つの手としては「では、どうすればいいのですか」と問い返してみることです。
知りたいことをきちんと答えてくれる医師を、かかりつけ医に持ちたいものです。