疾患・特集

災害後のストレス

もし、極限の状況を経験したら

1995年(平成2年)1月の阪神・淡路大震災はまだ記憶に新しいものです。大勢の人が味わった衝撃と恐怖は、ストレスとしてその後の健康に微妙な影響を及ぼしています。
震災後、心筋梗塞患者の数が増えたことが、救援に当たった医師によってしばしば指摘されていますし、高血圧患者の状態が悪化した、という声も聞かれます。
このほかにも、ソ連・タシケントの大地震(1966年)、アメリカ・ワイオミングの大洪水(1972年)、オーストラリアの森林火災(1983年)、三原山噴火(1986年)、サンフランシスコの大地震(1989年)、北海道南西沖地震(1993年)などで、災害が誘因となって血圧上昇を起こす人が増えたという報告があります。
人災で有名なものには、湾岸戦争の時にイスラエルで心筋梗塞患者が急増したという報告があります。
これほど、生命が脅かされるショックや恐怖は、その後何年にもわたって健康に影響を与えるのです。

環境の変化や不安がストレスを増強

災害のストレスは避けようがありません。せめて、災害後にやってくる生活環境の変化や将来への不安などによるストレスを軽減するように、物心両面でのサポートが重要になってきます。社会的にもサポート体制を整え、個人レベルでもできる範囲のお手伝いをする心構えは持ちたいものです。