疾患・特集

アルコールと麻酔

アルコールを飲み続けた後は、麻酔が効きにくい

体内に入った麻酔は肝臓で代謝されます。その時には、ミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)という酵素がはたらきます。ところが、MEOSはアルコールの代謝も行います。そして、ほかの薬剤や毒物よりもアルコールをまず最初に代謝する仕組みになっています。
お酒を飲み続けるとお酒の代謝にMEOSはどんどん使われますから、MEOSの活性は強くなっていきます。MEOSが強くなると、アルコールだけでなく薬剤などに対する代謝能力も高まります。
そして、通常の量の麻酔を投与しても、すぐに分解されてしまうのです。ですから、アルコールを飲み続けた後では、麻酔が効きにくくなってしまいます。

アルコールは麻酔にならない

ところで、アルコールを全身麻酔として使おうとして、外科の手術ができるように痛みがなくなるまでアルコールの血中濃度を上げると、急性アルコール中毒になってしまいます。そして、すぐに呼吸が抑制されて生命が危険にさらされてしまいます。ですから、アルコールを飲ませて全身麻酔をかけることは無理なのです。