疾患・特集

アルコール依存症の長期予防

1滴のお酒が断酒を揺るがす

アルコール依存症であった人が、長期に断酒に成功しているのは、アルコール外来に通院している人の1/3~1/4くらいのようです。再びお酒を飲んでしまう人の方が多くなっています。
再飲酒の予防には、治療後の注意深いアフターケアが必要といわれていますが、多くの人が十分なケアを受けていないのが現状のようです。治療により依存症が治ったとはいえ、アルコール依存症だった人はもともと飲みたいという欲求が異常に強かったわけです。
ですから、1滴でも飲むとまた元に戻ってしまうケースが多く見られます。

治療後再発して飲み続けると危険

米国の調査結果によると、長期に断酒が成功した人は一般の人と死亡率は変わらないようです。しかし、治療後再発してお酒を飲み続けると、死亡率は一般の人の約5倍高くなるようです。
最近はアルコール専門の病院や外来施設、あるいは断酒会やAA(アルコホリクス・アノニマス)などの自助グループが増えてきました。ですから、昔のように、アルコール依存症が重症になって精神病院に入院するケースは少なくなってきました。
早期治療による効果のおかげなのですが、一方で古参の断酒会員は、最近の若いメンバーは気軽にお酒を止めるが、地獄の苦しみを知らないので、また気軽にお酒を飲む傾向があるようだと指摘しています。