疾患・特集

アルコールと微量金属

微量金属が変化すると病気になる

微量金属全体としてみても体重の0.02%にしかなりませんが、最近の研究で生体の維持機能に大変重要な役割をしていることが明らかになってきました。
必須微量金属には、亜鉛、鉄、銅、セレンなどがあります。アルコールは微量金属の体内動態にも変化を与えます。そして、アルコールによる体内の微量金属の変化が、病気に影響することも分かってきました。

アルコールは亜鉛が少なく、鉄が多い

常習飲酒家には低亜鉛血症がしばしばみられます。肝障害がない場合は30~60%、アルコール性肝硬変の場合には70%以上に低亜鉛血症がみられるといわれています。
アルコール性肝障害の人は、摂取カロリーの半分はアルコールで取っているといわれています。しかし、アルコールは全く亜鉛を含まないので、低亜鉛血症になると考えられています。
亜鉛欠乏が起こると皮膚症状、性せん機能障害、成長障害、免疫異常、食欲の低下、たんぱく質合成障害、下痢、抑うつ症状など色々な症状がみられます。
また、お酒を飲むと鉄が過剰になりやすいといわれています。アルコール性肝硬変では血清鉄の増加がみられ、肝臓の組織中の鉄含有量も増加しています。この鉄過剰がお酒を飲むとさらに組織障害を引き起こし、肝硬変を進行させるといわれています。
一方、銅やセレンについては研究者によってまちまちで、まだ一定の見解が得られていないようです。