疾患・特集

アルコールと脳の萎縮

脳の脱水症状

二日酔いの時に起こる割れるような頭痛は、アルコールの浸透圧によって脳の中の細胞に含まれている水分が失われるために起こります。マウスを使った実験では60%も水分が失われるということも分かっています。

ですから、お酒をたくさん飲んだ翌朝は、脳はしわしわに縮んでしまっています。この脱水症状は水分の補給によって回復します。
ところが、大量のお酒を毎日飲んでいますと、飲んでいない人よりも脳委縮を起こす可能性が高くなります。そして、この委縮は意志や判断をつかさどっている前頭葉でよく見られるのです。

ぼけの原因にも

アルコール依存症では、意志が弱くて根気がなく、その場任せでモラルに乏しく、判断力が欠けているような人が多く見られます。これは脳が委縮している影響かもしれません。
これらの脳の委縮が記憶にかかわる脳幹の乳頭部に及ぶと、コルサコフ症候群という特殊なぼけが起こります。
最近の研究で、お酒を止めると委縮した脳が、元に戻ることがあることが分かってきました。つまり、早い時期にお酒を止めることが大切です。また、委縮した脳が回復するのは比較的若い年齢の人に多いようです。さらに、男性よりも女性の方が回復することが多いといわれています。