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がんは、たばこより遺伝の問題?

たくさんのたばこを吸っていても、がんにならずに往生する人もいれば、吸わないのに肺がんにかかってしまう人もいます。そこで、たばこより、遺伝や体質がモンダイなんだ!と言う人もいるでしょう。両親はヘビースモーカーだったけれど、がんは大丈夫だったから、その二人の子どもである自分も大丈夫!と。
近年、研究により、確かに遺伝子とがんの関係は深いという事が解ってきています。
実際、遺伝子とがんは、どのように関わっているのでしょうか?

カラダの中には下のように、発がん性を、ますます高めてしまう酵素と、無害にするための酵素という二種類の酵素があります。そして、それらの酵素をコントロールする各遺伝子にもいくつかのタイプがあり、その組み合わせによって、たばこを吸った結果、がんになるリスクが違ってきます。どんなタイプの遺伝子が、がんになりやすいのでしょうか?

発がん性を、ますます高めてしまう酵素をコントロールする
遺伝子CYP1A1の中のMap1多型
→A、B、Cの3型がある。
うち、C型が肺がんのリスクが高い

発がん性のある活性代謝物を無害化しようとする酵素をコントロールする
遺伝子GST1
→〔-〕と〔+〕がある。
うち、〔-〕が肺がんリスクが高い

遺伝子のタイプと発がん
喫煙率のレベル別に見た、
CYP1A1とGST1の遺伝子の組み合わせに対する
肺扁平上皮がんの相対危険(オッズ比)

これらの遺伝子のタイプは、親から子へといった単純な遺伝ではありません。両親が大丈夫だったとしても、あなたも肺がんにならないという保証は何ひとつありません。また、たとえ、がんになりにくいタイプの遺伝子だったとしても、グラフの赤い部分が示す通り、たばこを吸った本数(累積喫煙率)が多くなれば、確実に肺がんのリスクは高くはねあがってしまうのです。