疾患・特集

インフォームド・コンセントとは?

1970年代、アメリカで急速に広まる

医師が患者に対して、受ける治療内容の方法や意味、効果、危険性、その後の予想や治療にかかる費用などについて、十分にかつ、分かりやすく説明をし、そのうえで治療の同意を得ることをいいます。
ここ10年ほど医療界を中心に盛んにいわれていることですが、この考え方には、もともと2つの来歴があります。
一つは、医療過誤裁判で医師に説明義務があることを認めさせるための法廷戦術上の概念であったもの。
もう一つは、人体実験における被験者の同意のとりつけの場での考え方です。この場合は、事前に実験の目的や危険性などが十分説明され、被験者が自発的に同意するというものでした。
1970年代のアメリカの医療思想は、この概念を医師=患者関係の基本に置こうと考えて急速に広まっていきました。しかし、その背景には、訴訟に対する医師の自己防衛が働いていたという事情もあります。

日本は1990年が元年

そして、この概念はアメリカから日本に輸入されたわけですが、わが国の場合は1990年(平成2年)がインフォームド・コンセント元年であったという人がいます。
これは、この概念について検討を続けてきた日本医師会「生命倫理懇談会」が、90年の年頭に「説明と同意」についての報告を公表し、その立場を明確に示したからです。
例えば、がんの告知については、わが国でも次第に告知が行われる方向に向かうとし、その際には十分に慎重な態度で臨み、前提条件が備わっている場合に限り、告知をすべきであるとしています。