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骨粗しょう症は遺伝する?

骨粗しょう症がおこる大きな要因に、加齢がありますが、遺伝的なものもあると言われています。骨粗しょう症と遺伝のメカニズムについて解説します。

遺伝的な要素が影響する場合も

近年、平均寿命が延び高齢者が多くなっているなかで、骨粗しょう症の患者さんも非常に多くなっています。骨粗しょう症の特徴として、骨折を起こしやすいことが挙げられます。例えば、少し重いものを持ち上げたり、しりもちをついてしまったときなど、簡単なことで骨折してしまう場合もあります。また、圧迫骨折による身長の低下、背中が丸くなる、背中や腰の痛みが出る、といった症状も出てきます。

この骨粗しょう症がおこる大きな要因に、加齢があります。また、閉経、カルシウム不足、運動不足、喫煙や過度の飲酒といった原因も挙げられます。そして、骨粗しょう症の原因には遺伝的なものもあると言われています。

骨粗しょう症と遺伝のメカニズム

骨粗しょう症の遺伝を引き起こす要因はさまざま存在すると考えられています。その要因のひとつはコラーゲンです。私たちの体をつくっているコラーゲンには19種類の型が存在するのですが、体内の大部分を占めるのがI型コラーゲンというタンパク成分です。このI型コラーゲンは骨や歯、皮膚、靱帯、腱などに存在していて、骨粗しょう症の遺伝子疾患のカギを握っています。

I型コラーゲン量の減少や変異などの異常は、骨形成不全症や若年性骨粗しょう症などと関連性があることが報告されています。

もうひとつの要因はカルシウムです。骨粗しょう症を持つ人の中には、生まれつき骨にカルシウムがつきにくい人がいます。カルシウムが不足すると、骨量や骨密度が減少します。このような特徴は遺伝する可能性もあります。骨密度、骨量が低いと骨粗しょう症を引き起こしやすくなるため、家族に骨粗しょう症を持つ人がいるのであれば早めに骨量を測定し、自分の骨の状態を知る必要があるでしょう。

家族に骨粗しょう症の人がいる場合は要注意

骨粗しょう症は、遺伝的な要素が多少なりとも影響し、体質的に骨粗しょう症になりやすい人もいます。大腿骨頸部(太もものでっぱりの部分)を骨折した人が親の場合、その子供や孫に遺伝することもあります。

遺伝と骨粗しょう症の関係については、いまだはっきりと分かっていないこともあります。しかし両親や親せきに骨粗しょう症の人がいる人は、可能性として自分も骨粗しょう症にかかるリスクがあるということを考えておいたほうがいいかもしれません。

65歳以上の女性、80歳以上の男性の約半数がかかっていると考えられている骨粗しょう症。近年では、骨粗しょう症になる可能性があるかどうか検査することのできる遺伝子検査サービスや、遺伝子検査キットなども現れています。骨が折れてしまってからでは、治療が大変になってしまいます。大変な症状が出る前に、予防的に病院を受診したり、キットで検査してみるのもよいかもしれませんね。

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公開日:2016/03/07