疾患・特集

ピロリ菌の感染原因とは

ヘリコバクター・ピロリ、通称ピロリ菌は私たちの胃の中に住んでいます。胃の中は強い酸性の胃液で覆われていますので、微生物が生きていけるはずはないのですが、ピロリ菌はそれを中和する酵素を作り出すことができ、強酸性の環境下でも生きていくことができます。そして、鞭毛により自ら移動することも可能です。

強酸性の胃の中でも生きられるピロリ菌

ヘリコバクター・ピロリ、通称ピロリ菌は私たちの胃の中に住んでいます。胃の中は強い酸性の胃液で覆われていますので、微生物が生きていけるはずはないのですが、ピロリ菌はそれを中和する酵素を作り出すことができ、強酸性の環境下でも生きていくことができます。そして、鞭毛により自ら移動することも可能です。

口から感染するピロリ菌

現在、ピロリ菌の感染経路は特定されていません。しかし、上下水道の不備などで、衛生状態のよくない国や地域の人たちの多くがピロリ菌に感染していて、定着するのが胃の中であることから、その感染は口からと考えられています。

日本では戦後、上下水道が整備され、衛生状態が改善することで、その感染率は下がりました。かつての日本では、不完全に処理された生活用水が主な感染源であったと考えられています。現在の水道水ではそのような心配はありませんが、それ以外のピロリ菌に汚染されたものを飲んだり食べたりすれば感染するでしょう。

キスでは感染しない

口からの感染ということで、キスはどうでしょうか。一般に、大人は免疫機能が高いため、夫婦や恋人の一方が感染者だったとしても、キスが原因で感染することはないとされています。子供においても、軽いキス程度では感染しないと考えられていますが、特に子供に対する口移しは感染の原因となる可能性があります。

ピロリ菌の感染の多くは、5歳以下の時だとされています。それは、これぐらいの年齢ですと、まだ免疫機能が不完全で、胃の中の酸性度も大人よりは低いため、ピロリ菌が生き続けやすいからだと考えられています。したがって、幼児期には特に、感染者からの口移しには注意が必要です。

胃炎・胃潰瘍から胃がんの原因にもなる

胃がもたれたり、吐き気がしたり、空腹時や食後の胃痛、腹痛、食欲不振などの症状はこのピロリ菌が原因かもしれません。ピロリ菌に感染すると、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍になってしまうことがあります。

そして、ここから胃がんや十二指腸がんになってしまう場合もあるため、これらの症状をいつものことだと、軽く考えるべきではないでしょう。気になる場合は、医療機関で感染の有無を調べることができます。そして、必要であれば除菌も可能ですので、検討してみてください。

効果が期待されている食品も

感染している場合、除菌がベストですが、食品にもピロリ菌を減らしたり、増殖を抑制したりする効果が期待されているものもあります。ブロッコリースプラウト(新芽)や緑茶、ヨーグルトとその乳酸菌のLG21を継続して摂取すると、胃の中のピロリ菌を減らすことができるという報告もあります。

ピロリ菌は感染経路が未確定であることから、その予防も確実な方法はないようですが、口に入れるものに対する衛生状態に注意し、これらをいつもの食事に取り入れるという方法は有効であるようです。

公開日:2016/02/15