インスリン治療を行う糖尿病の患者さんに常につきまとう低血糖のリスクについて、サノフィ株式会社が、2015年1月に糖尿病患者を対象に行った「インスリン-ライフ・バランス調査」の結果を紹介します。
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インスリン治療を行う糖尿病の患者さんにとって、インスリン製剤は血糖コントロールのために、なくてはならないものです。その一方で常につきまとうのが、血糖が下がりすぎてしまう低血糖のリスクです。
サノフィ株式会社が、糖尿病患者707名を対象に行ったインターネット調査「インスリン-ライフ・バランス調査」(実施:2015年1月/結果公開:2015年5月)によると、直近3ヵ月に低血糖を起こしたことがある人は、33.4%に上るということが明らかになりました。
「インスリン製剤の使用を始めてから低血糖を起こしたことがありますか?」という質問に対する回答は、以下のような結果となりました。
インスリン-ライフ・バランス調査(2015年)
日中(午前中~夜まで):47.0%
夜間(夜中~早朝まで):26.6%
ここから、低血糖は時間帯を問わず、一日中注意が必要だと言えます。
インスリン-ライフ・バランス調査(2015年)
低血糖を起こしたことのある人のうち、「診察時に必ず医師に話す」という回答は56.1%にとどまりました。これは、残りの43.9%は医師に話さないことがある、あるいはまったく話していないことを意味するため、医師が患者さんの低血糖について正確に把握できていない現状が示唆されました。
低血糖が起きたときの対処法として、また低血糖が起きないようにする予防法として、何かを食べたり飲んだりして、血糖をコントロールすることがあります。これが「補食」(ほしょく)です。
今回の調査では、補食の経験がある患者さんのうち、補食によって血糖コントロールが不安定になったと感じた患者さんが、48.0%にのぼるという結果となりました。
インスリン-ライフ・バランス調査(2015年)
また、補食が「体重増加に影響すると思う」と心配している人が半数以上の53.5%、補食をすること自体に「ストレスを感じる」という人が47.3%にのぼることも明らかとなりました。過剰な補食が、治療への悪影響や、患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)の低下へつながることが懸念されます。
血糖コントロールのためには、患者さんが自分の目標値をきちんと把握しておくことが大切です。「血糖目標値を医師から聞いていますか?」という質問への回答結果は、以下のようになりました。
インスリン-ライフ・バランス調査(2015年)
聞いている :82.6%
聞いていない:17.4%
その一方で、直近3ヵ月における血糖コントロールが「できている」と答えた人が、半数以下の46.4%にとどまっていることから、目標は立てられているものの、なかなか達成できていない現状がうかがわれます。
「将来のインスリン製剤に何を期待しますか?」という質問に対しては、以下の回答が上位を占めました。
1位:血糖コントロールが改善される(76.5%)
2位:針の痛みが少ない(42.6%)
3位:長期にわたっての安全性が確認されている(38.0%)
今回の調査では、インスリン治療を行う患者さんの現状と、満たされていない要望が浮き彫りとなりました。今後はこれらが改善され、インスリン治療によって、より良い血糖コントロールがなされることが望まれます。