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夏のバーベキューもこれで安心!屋外での食中毒予防の心得

夏はキャンプやバーベキューなど野外での食事が多くなり、それと同時に集団食中毒が発生しやすい季節。調理方法や加熱の時間、調理器具の利用時の注意点などをしっかり守れば食中毒は防げます。正しい知識を学びましょう。

夏のアウトドアは特に注意!食中毒の集団発生

夏のアウトドアは特に注意!食中毒の集団発生

キャンプやハイキングなど、アウトドアの絶好のシーズンである夏は、バーベキューのような屋外での食事が多くなります。たとえ山や海へ出かけなくとも、夏祭の縁日で、焼きそばや焼きとうもろこしなどを食べる人は多いでしょう。
そこで気になるのが、食中毒の問題。夏に発生しやすいのは家庭内でも同じですが、屋外では多くの人が同じ料理を食べるため、集団発生となりやすくなります。その結果、残念ながら毎年のように、大きなニュースとして報じられています。

ウシやヒツジには無害な細菌でも、ヒトの身体に入ると…

食中毒を引き起こす病原微生物の細菌類にとって、増殖するのに適した環境だと言えるのが、動物の体温と同じくらいの気温と、じっとりとした高い湿度です。高温多湿の日本の夏は、この条件をちょうど満たしているため、食中毒が起きやすくなります。

細菌類の中でも要注意なのが、O-157やO-111などの腸管出血性大腸菌です。ウシやヒツジの大腸内では害を及ぼさず、ごく普通に存在している細菌ですが、いったんヒトの体に入ると腸管壁に付着し、ヒトにとっては有害なベロ毒素を作り出して、嘔吐や下痢などの症状を引き起こします。
さらに、腸管出血性大腸菌が血管の中に入り込むと、腎臓で毛細血管内皮細胞や赤血球の破壊、溶血、急性腎不全が引き起こされ、体内の老廃物を排泄できなくなる「溶血性尿毒素症候群」を発症することがあります。

屋外での調理や食事による食中毒を防ぐには?

肉類などの生ものは、病原微生物が付着し、繁殖しやすいうえに、温度や清潔さを保つことが難しいです。しかし、病原微生物を食物に付着させない・増やさない・殺すという基本をおさえていれば、屋外で調理や食事をする場面でも、少しの気づかいで食中毒を予防できます。

屋外での食中毒を予防する方法

●手や調理器具は、洗浄やアルコール消毒などで清潔に保つ

石鹸や洗浄剤でこまめにしっかりと洗う必要があるため、調理や食事の際は、清潔な水場が近くにあることが望ましいです。

●生の食品と加熱済みの食品とを分ける

生の肉や魚介類と、すでに加熱してある食品とは、準備や調理のときだけでなく、購入や移動の段階から、容器や調理器具を分けます。

●しっかりと加熱する

汁物は沸騰するまで、肉や魚介類は肉汁などが透明になってから1分以上を目安に加熱します。

●安全な温度に保つ

作り置きはせず常温で2時間以上放置しない、保冷バックや冷却剤で冷却保存(厳密には5度以下)するなどを心がけます。

●安全な食材と水を使う

新鮮な食材と清潔な水を、消費期限を必ず守って使用します。

●自分で調理しない場合も油断は禁物

縁日で買ったものはその場ですぐ食べ、屋台は食材をしっかり管理している清潔な店を選ぶようにします。

食中毒になってしまった場合、治療に抗生物質が用いられることがあります。抗生物質には、細菌類の細胞壁を破壊し、増殖を抑える効果がありますが、種類によっては効かない細菌もあります。腸管出血性大腸菌などの場合、体内である程度増殖した状態で抗生物質を内服すると、細菌自体が破壊され、このときに大量のベロ毒素が放出されてしまいます。そのため、以前に処方された抗生物質が、たとえ手元に残っていたとしても、自己判断での内服は絶対に避けるようにしましょう。

公開日:2012/06/18