高血圧は男性の病気と思われがちですが、妊娠時や更年期における女性特有の高血圧があるのを知っていますか?女性に特有な主な高血圧症状を紹介します。
高血圧の患者さんと聞くと、一般的に中年の男性をイメージする人が多いのではないでしょうか。確かに30代から50代頃までは、高血圧と診断される割合は男性のほうが高いようです。ところが、年齢が上がるにつれて高血圧の女性の割合は高くなっていき、65歳を超える頃には男性と同程度にまでなってしまいます。
ほかにも、高血圧に関して、女性には男性に見られない特徴や、特有の高血圧が存在します。
女性に特有のものとして、妊娠している時期の高血圧が挙げられます。これらは「妊娠高血圧症候群」と総称され、元から血圧が高かった女性が妊娠した場合とは区別されます。程度が軽ければ、通常は薬による治療は行わず、出産後に元に戻ることが多いようです。ただし、重症の場合には脳や心臓に影響を及ぼしかねないので、血圧を下げる薬を投与して治療を行う必要があります。
妊娠する前までは正常だった血圧が、妊娠20週を過ぎてから高くなった状態。
妊娠高血圧により腎臓が正常にはたらかなくなり、尿中にたんぱく質が漏れ出すたんぱく尿が見られるようになった状態。
妊娠20週を過ぎてから初めてけいれん発作が起きた状態。
次の3つの場合があります。
なお、元から高血圧の人が妊娠した場合、軽症の妊娠高血圧と同程度に血圧が保たれていれば、出産に差し障りはありません。ただし、糖尿病を合併している人や肥満の人、35歳以上の人などは、産科医と高血圧の専門医に相談するのが望ましいとされています。
更年期を迎えてから高血圧になる女性は多いようです。驚くべきことに、35歳頃まで低血圧と言われていた人でさえ例外ではなく、更年期に急に血圧が上昇して、高血圧と診断されるのも珍しくはありません。
急に血圧が上がる原因として考えられているのは、体重の増加やホルモンバランスの変化、精神面の影響などです。これらに対しては、血圧を下げる薬のほかに、ホルモン補充療法や向精神病薬などによる治療が行われることもあります。
このように、たとえ現在は問題がなくても、女性は妊娠時や更年期に突然高血圧になることがあります。中年の男性だけの問題だとは思わず、日頃から自分の血圧に関心を持つようにしましょう。