疾患・特集

うっかり飲んでしまったら?妊娠とお薬

1950年代後半、ある特定の睡眠薬を飲んだ妊婦さんから、手足の短い赤ちゃんが産まれるなどの薬害があり、当時は大きな社会問題となりました。「飲んでしまったから中絶を」と早まる前に、気がかりな場合は主治医にじゅうぶん相談しましょう。

妊娠に気づかず、うっかりお薬を飲んでしまった!

妊娠に気づかず、うっかりお薬を飲んでしまった!

1950年代後半、ある特定の睡眠薬を飲んだ妊婦さんから、手足の短い赤ちゃんが産まれるなどの薬害がありました。被害者は300人以上、当時は大きな社会問題となりました。このように、薬の作用によってお腹の赤ちゃんに奇形をつくることを「催奇性」、赤ちゃんの発育や機能に影響を及ぼすことを「胎児毒性」といいます。

妊婦さんにとっては、自分が飲む薬が、生まれてくる赤ちゃんにどのような影響を及ぼすかはとても不安なところです。「妊娠していることに気づかず、風邪薬を飲んでしまった」と慌てる人も多いでしょう。そこで今回は妊娠と、薬との関係についてまとめました。

妊娠中のお薬は、禁忌の薬に注意をし、医師に相談を

妊娠中の薬の服用は、妊婦さんにとって大変心配なことです。しかし結論から言って、うっかり薬を飲んでいたとしても、多くは心配の必要はありません。薬局で購入できるような風邪薬、頭痛薬、胃薬などであれば、用法・用量を守って飲んでいれば、まず問題ないのです。
医師から処方される薬の中には妊娠中に禁止されているものがありますが、赤ちゃんに影響を及ぼすような危険性の高い薬は一部です。
というのも、薬の催奇性については、薬が開発される段階で動物実験などにより厳重な試験が行なわれており、催奇性の強い薬は、抗がん剤など一部の薬をのぞき、発売されることはありません。「飲んでしまったから中絶を」と早まる前に、気がかりな場合は主治医にじゅうぶん相談しましょう。

添付文書を読もう!

薬を購入したときについてくる「添付文書」をよく読んでみましょう。「使用上の注意」欄に「妊婦への投与」についての記載があります。妊娠中に飲んではいけない薬は冒頭の「禁忌」という欄にその旨が記載されています。気になる人は添付文書をチェック!

ふだんから薬を飲んでいる人が妊娠を希望する場合

また、病気の治療のためにふだんから薬を飲んでいる人が、妊娠を希望する場合。このケースは、事前によく医師と相談することです。医師の管理のもと、計画的な妊娠・出産が可能となる上に、場合によってはより影響の少ない薬に変更することもできます。

●喘息患者さんの場合
激しい喘息発作は血液中の酸素不足を招き、赤ちゃんの発育に悪い影響を及ぼす恐れがあります。発作を予防するためにも、薬による治療を続けましょう。喘息の治療薬は、妊娠中でも安心して使用できます。

●アトピー性皮膚炎患者さんの場合
治療によく用いられるステロイドの塗り薬は、妊娠中でも問題なく使用できます。大量に使用している場合は医師と相談して減量を考えましょう。抗アレルギー薬も種類が豊富なので、より安全なものに切り替えを。

●てんかん発作を起こす患者さんの場合
てんかんの患者さんでは、医師による専門的な管理が必要です。催奇性のある薬もあり、ある程度の危険性は否できませんが、てんかんの発作はお腹の赤ちゃんにも大きな負担となります。主治医とじゅうぶんに話しあう必要があります。

公開日:2008/07/28