疾患・特集

夏に「まーさん!」沖縄料理

沖縄では昔、ご飯は薬同然だった

琉球王国

日本本土とは気候がまったく異なる沖縄。栽培される野菜には馴染みのないものが多かったり、海にめぐまれている割には魚料理がさほど発達していないなど、面白い特徴をもつ。
沖縄の食文化は、地理的に近い鹿児島県の薩摩料理や台湾料理の影響も強く、歴史上においてさまざまな国の統治下にあったことから多様化したと考えられている。
とくに琉球王国時代には、交易のあった中国や東南アジア、朝鮮などの影響を大きく受けた。なかでも中国からは「医食同源」の思想をとりいれ、沖縄の方言でも「クスイムシ」(薬になる健康のためのご飯)と呼び、長寿県としてのポジションを確立したと言われる。

魅力的な食材が豊富

●色とりどりの魚

タカサゴ

沖縄を訪れたことのある人は、まな板の上でさばかれる青・黄など色とりどりの魚を見て驚いたことがあるかもしれない。沖縄で有名な魚はグルクン(タカサゴ)、イラブチャー(ブダイ)、ミーバイ(ハタ)など。高温多湿な気候から保存に適さず、あまり調理法も発達していないのが現状だ。

●臭さがやみつき?山羊料理

ヒージャー

山羊は沖縄ではヒージャーと言い、昔から祝い事の際にふるまわれた特別料理だ。現在でも食堂のメニューにあり、比較的年輩の人は好んで食べるが、臭みが強烈でショウガやフーチバー(よもぎ)を入れないとかなり抵抗がある。体への刺激が強く、失神したり鼻血を出す人もいたりするので注意。

●大人気!野菜料理

ゴーヤ

ゴーヤー、パパイヤ、ナーベーラー(へちま)など、ヘルシーで栄養価も高いことから人気が出ている。とくに代表格とも言うべきゴーヤーだが、その特徴でもある苦味は「モモルデシン」というアミノ酸成分で、ほかにもビタミンC、β-カロテン、ビタミンB1、カリウム、リン、鉄分などのミネラルも豊富。まさに夏バテ防止に最適。

●豆腐料理

じーまーみー豆腐

固い「島豆腐」や、大豆ではなく落花生を使った「じーまーみー豆腐」などのほか、豆腐を紅麹と泡盛に漬け込んだ「豆腐よう」が有名だ。

ひとくちメモ ・豆腐ようはすごい!

豆腐ようの赤い色の素は、麹菌の一種の紅麹。その紅麹には、ロバスタチン(高脂血症の薬の成分)や GABA が含まれており、その健康効果が注目を浴びている。

医食同源は昔の話?

長寿県として有名となった沖縄。しかしこれは現在の、おもに70歳以上の高齢者の話だ。戦後、アメリカの占領下に入ったと同時にアメリカ式の食生活がいっきに普及し、ファーストフードに見られるような高脂肪・高カロリーの食事が好まれるようになった。しかも蒸し暑い気候のせいで、日常的に散歩やジョギングを心がける人など多くはおらず、2000年には「26ショック」という事態に。これは、それまで全国で首位の常連だった沖縄県民の平均余命が、いっきに26位(男性)にダウンしたのだ。
医食同源はもう過去の栄光?沖縄の例を参考に、日本人みんなで栄養バランスや適切な食生活についていまいちど考えなおしてみよう。

※「まーさん」とは、沖縄の方言で「おいしい」という意味。

公開日:2007年8月6日