疾患・特集

あなたはついていけてる?変化するトクホ

世界ではじめて!国のお墨つき食品

トクホに接する機会が増えている

スーパーやコンビニエンス・ストアに行くと目につくのが、トクホマークのついた商品。中高年男性をターゲットにしたようなお茶や、女性が好みそうな乳製品、食用油など、生活シーンのあらゆる所でトクホに接する機会が増えている。

トクホとは「特定保健用食品」のこと。世の中には多くの健康食品があふれているが、高度な技術力で生産されたものもあれば怪しげな輸入品もあり、まさに玉石混交の状態。これでは消費者も迷うばかりで、自分にあった適切な商品を選ぶことは難しい。
そこである程度の科学的根拠のあるものは、その健康効果について表示を可能にしようという狙いで設立された。1991年にスタートし、世界ではじめて国が食品にお墨つきを与える画期的な制度として注目されている。

アピール効果も高いが、ハードルも高く

実際にトクホ第1号が誕生したのは、制度がスタートしてから2年後の1993年。15年近く経過した現在の品目数は660と、飛躍的に増加している(2007年2月16日現在)。消費者のニーズにあった商品展開と派手なCMの相乗効果もあってか、爆発的にヒットしたアイテムもある。「血糖値が気になる方へ」「体脂肪が気になる方へ」という言葉を聞いて「ああ、あれね」と特定の商品を思い出す人も多いだろう。

トクホという制度は消費者に対してのアピール効果も高く、企業側にとってもメリットは大きいと思われる。しかし良いことずくめではない。トクホの承認は医薬品なみの厳しい試験をクリアすることが求められており、実際に商品化するまでは相当の費用と時間がかかる。そのため中小企業にはハードルが高いという声や、実際にトクホなみの有効性を持ちながらも申請はあきらめたという企業もあるようだ。

トクホ市場の推移

新登場「条件付きトクホ」はどうなる?

トクホマーク

こうした経緯を受けて、専門家によって構成された研究班が検討を重ね(厚生労働省科学特別研究事業)あらたに設けられたのが「条件付きトクホ」だ。これは、今のトクホの制度において要求される有効性のレベルには届かないものの、一定レベルの有効性が確認されるものについては、「限定的な科学的根拠であることを商品に表示する」ことを条件としてトクホとして許可する、というもの。
実際には、商品のラベルに「○○(成分)を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適している可能性がある食品です」などと記載される。おなじみのトクホマークにも「条件付き」の文字が付されることとなる。

われわれ消費者にとってこの「条件付きトクホ」はまだ馴染み薄い状態だ。しかし、ますます加熱する健康ブームに乗って近い将来、数多い健康アイテムのひとつとして存在感を増す日が来るかもしれない。

公開日:2007年5月14日